フジロック2016 2日目 私が見たいアーティスト/バンドのメモ
フジロック2016 2日目(土曜日)のメモ
気がつけばフジロックまであと2週間くらいとなっています。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は1日目(金曜日)のメモ(→link)に引き続き2日目(土曜日)に私がみたいアーティストメモを書きたいと思います。
ところで土曜日のグリーン・ステージは少し変則的な構成となっていて、ヘッドライナー扱いのBeck(ベック)が21時には終わってしまい、その後にFRF 20th SPECIAL G&G Miller Orchestraというこの日のために特別に結成されたアーティストの登場となります。これはベックが当日中に東京に帰りたいため、越後湯沢発の東京行最終の新幹線に間に合うように懇願したからだとも言われています。本当のところはよくわかりませんが。
もともとこの特別編成のバンドはフジロックの登場アーティストとしては一番最後に発表され、ずっとTBA(To Be Announced)扱いだったために、もしやライブツアーを直近までおこなっていた小沢健二あたりではないか?と少し私の中でざわめきがありましたが、グリーンステージのGとグレン・ミラーのGを重ねたスペシャル・ユニットだったようです。
また、この日はインターネッツ的には話題の奥田愛基(SEALDs)&津田大介がジプシー・アバロンに登場します。タイムテーブル的にはTravis(トラヴィス)の出演時間帯と重なっているため、彼らを見ようと思っている人たちはかなりマニアックだとは思いますが。
ところで念のため私の思う土曜日の注目アーティストを先にあげておくと、何はなくともWilco(ウィルコ)、とにかくウィルコ、次にトラヴィスです。
踊ってばかりの国
そして彼らにはインディ・ロックという名称がよく似合う。
インディーズ時代初期は沖縄民謡のリズムにフィッシュマンズ/佐藤伸治のボーカルをのせたような独特なアシッドさとサイケデリックさを奏でていたけれど、現在は初期ほどサイケデリック色は強くなく、曲によってはギターロックバンド的だなっと思えるナンバーもある。
ただし、その歌詞における毒のようなものは変わっておらず、その点でロック的とも言える。
リンクが貼ってある動画の「唄の命」は初期の彼らを思わせるテイストが強く個人的にはとても好きな曲だ。
Tom Odell(トム・オデール)
トム・オデールはイギリス出身のシンガー・ソング・ライター。
ピアノを弾きながら歌うことが多い。そのルックスから若い女性のファンが非常に多く、 アイドル的な人気を獲得している。海外でのライブ動画を見ると黄色い声援がこれでもかというくらいにとんでいる。
今年の6月に2ndアルバムを発表し、その中に収録されている楽曲「Magnetised」のライブ映像などを見ると途中から弾いていたピアノを離れ、スタンディングで歌いポーズを決めるなどアイドル的振る舞いも板についてきた模様。
アイドル的側面ばかりを強調してしまったが、美しく力強い声を持ち、時には激情的で男性版Adele(アデル)といった佇まいでもある。
The Album Leaf(アルバム・リーフ)
アルバム・リーフはアメリカ出身のポスト・ロックまたは狭義でのエレクトロニカ・ユニット。
初期は美しいアンビエント・ミュージックといった趣きだったが、近作ではボーカルの乗った楽曲が増えてきたように思う。
最新のアルバムはフジロックが終わった後の9月に発売予定となっているため、今回のライブでどのようなセットリストになるか興味深いところ。
在日ファンク
在日ファンクは日本のファンク・バンド。
高祖ジェイムズ・ブラウンから流れを汲むファンクを日本に在りながら再認識しようと、音、思想、外観あらゆる面から試みるファンクを試みるユニット、とのこと。
ジェイムズ・ブラウンの流れを組むと自称するだけのことはあってステージ上に喜怒哀楽全てが存在する。コミカルさと怒りと、楽しさ、悲しさといったすべての感情を同居させている。そのバンド名や曲名から政治的な部分をどうしても強く連想されがちだが、その要素があることは否定はできないが、それはほんの一部分に過ぎず、それだけのバンドとして受け取るのはもったいない。
大森靖子
大森靖子(おおもりせいこ)は日本の女性歌手。
2014年の夏フェスはある意味大森靖子のシーズンだった。出演したフェスではそれぞれで特異で印象的なパフォーマンスを演じた。
その時の様子はこちら↓
炊飯器で炊いたご飯をフジロッカーに配りチェキ会を苗場で開催してから、2年がたった。大森靖子はその間にメジャーデビューし、結婚し、出産した。
おそらくは大森靖子は以前のような極端なケレン味あふれるパフォーマンスは演じないと思う。けれど、それでも充分にエキセントリックなステージが予想される。
Travis(トラヴィス)
トラヴィスはグラスゴー出身のオルタナティヴ・ギター・バンド。
過去に日本の夏フェスに何度も登場しているお馴染みのバンドでもある。彼らの演奏後には毎回Twitterのタイムライン上に「トラヴィスの演奏が素晴らしかった。想像していたよりもずっとハッピーなものだった」というような感想ツイートが並ぶことが恒例となっている感がある。
アルバムの音源よりもライブの方がはるかに多幸感溢れる内容となっており、単純にメンバーがギターを弾き歌うだけだが、決してオーディエンスの期待を裏切らないパフォーマンスをする。
UKロックのトップランナーとしてふさわしい美しいメロディを奏でる。
前回の登場の際にはボーカル・ギターのフランのひげが伸びていて、どこか仙人のような風貌だったのが印象的だった。
今年に入り彼らにとって8番目となるアルバム「Everything At Once」をリリースする。今回のフジロックでも新譜からも何曲か演奏されることになるはずだが、「Flowers in the Window」や「Why Does It Always Rain on Me?」あたりも当然セットリストに入ってくると期待している。
The Heavy(ザ・ヘヴィー)
ザ・ヘヴィーはイギリス出身のロックンロール・バンド。
ボーカリストは黒人でブルース的でもあり、R&B的でもあり、ソウル的でもあり、ファンクを想像させるが、いにしえのロックンロールという言葉がもっとも似合う。
以前の紹介記事ではレッド・ツェッペリンを思い起こさせるような重厚なグルーヴという言葉で彼らの事を取り上げたが、全然的を射た説明ではなかったと反省している。今にして思えば何をトチ狂った感想を書いていたのかということになる。
やはりこのバンドはボーカルのスワビーの存在感が大きく、そのためかブラック・ミュージック的な部分が強く打ち出されていて、今のUKロック等に比べると濃い。コーラスやホーンの入り方が今風ではなく非常に印象的。
Con Brio(コン・ブリオ)
コン・ブリオはサンフランシスコ出身のファンク・バンド。
サンフランシスコ出身ということもありSly & The Family Stone(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)が引き合いに出されることも多い。
ボーカルのジーク・マッカーターは若く情熱的でエネルギッシュそしてソウルフル。それを6人のバンドメンバーが支えている。今年1stアルバムが発表されたばかりの新人ながら演奏力も高い。
このバンドはこのまま駆け上がっていくんじゃないだろうかという予感をさせるものがある。
ただし個人的に残念なのはトラヴィスのちょうど裏の時間のフィールド・オブ・ヘブンということもあり、彼らを強く認識しながら観るオーディエンスは少ない気がする。
Wilco(ウィルコ)
ウィルコはアメリカ出身のオルタナティヴ・ギター・ロック・バンド。
個人的にはフジロック2016土曜日最大の注目アーティスト。
恥ずかしながら私はウィルコのライブを今まで目にしたことがない。
ただし彼らがライブをする度にTwitter上に、彼らの素晴らしいライブ報告が上がってくる様子だけは知っていた。ただこのライブ感想についてずっと疑問があった。ウィルコはアルバムを聴く限りではカントリーやフォークの要素のあるギター・ロック・バンドに思えるが、TL上に流れてくる感想はとてもギターバンドのそれとは思えないものばかりだった。何なら飛来してくるギャオスをスペシウム光線で撃ち落とすようなライブだ、という感想まで流れてくる始末だ。
意味がわからない。
けれど実は過去にこれに似たライブ評というかライブ盤の批評を聞いたことがある。それはJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)のライブ・アルバムについてだったと思う。
ウィルコのライブがジミヘンのそれと共通点があるかどうかは分からないが私は彼らのライブを大変に楽しみにしている。
Beck(ベック)
ベックはアメリカ・カルフォルニア州出身のオルタナティブ・ロック・アーティスト。
唐突だが私はベックのすべてのアルバムの中で1stアルバム「Mellow Gold」 が一番好きだ。正直に言ってしまうと世間で一番評判が良いであろう2ndアルバム「Odelay」が出た瞬間に、「ベックの野郎日和ったな。聴きやすい、耳に馴染みやすい曲なんて作りやがって」と思ったものだ。
ベックの1stアルバムは本当にごちゃまぜ感があって病んだ90年代(今となってはそんなものがあったかどうか不明だが)を体現していたような音と感じていたからだ。シングル・カット出来るような曲は「Loser」くらいしかなく、それでもアルバムは売れて無理やり「Beercan」やら「Pay No Mind (Snoozer)」あたりでPVを作っていたのはなんだか滑稽で痛快だった。
その後ベックはひとつのところの留まることなく、色々なジャンルをいったり来たりしつつある。
最近発表された「Wow」という楽曲は初期のベックを思わせる部分もあって、もしやベックは回帰しているんじゃないかと私に誤解をさせ、久しぶりベックが見たいと強く思わせるものだった。
Kula Shaker(クーラ・シェイカー)
クーラ・シェイカーはイギリス出身のロックバンド。
90年代のブリット・ポップ全盛時代にデビューをしたバンドで、当初よりボーカル・ギターのクリスピアン・ミルズのインド音楽に傾倒するさまはあったものの、近作「K2.0」ではその傾向がさらに強まり、曲によってはわかりやすく東洋オリエンタリズムにインスパイアされた楽曲もある。
前回の来日もやはりフジロックで、2010年のことになる。その際はグリーン・ステージでの演奏だった。まだ日中で暑い時間だったがクールに決めるクリスピアン・ミルズはまるで王子様か貴族様のようだった。
Squarepusher(スクエアプッシャー)
スクエアプッシャーは イギリス出身のエレクトロニカ/ダンス・アーティスト。
ドラムンベースやIDMにカテゴライズされることもある。時にはドリルンベースとも呼ばれるが彼以外にドリンルンベースの呼称がふさわしいアーティストを私は知らない。
基本的にライブではDJプレイのみだが、時折ベースを弾く。
これは個人的な思い出だが私が若かった頃、会社でスクエアプッシャーのCD(「Hard Normal Daddy 」だったと思う)を爆音で聴いていた所、上司に「そんなゴミみたい音楽かけるのやめてもらえませんか」とたしなめられたことがある。
当時は音楽の進化に対して無理解な上司だと憤っていたが、今にして思えば、スクエアプッシャーが音楽の進化だと思っていた事もどうかと思うし、そんな工事現場を早回ししたような音楽を休憩中とはいえ爆音で聴いていた事も、私の方がおかしかったのではないか、と少し反省するようになった。これは成長といえるのではないだろうか。
スクエアプッシャーに関してはもうひとつ思い出されることがある。
スクエアプッシャーの作り出すリズムが珍妙で、他のアーティストに比べてオリジナリィがありすぎる。そのためかライブでオーディエンス側はどんな反応をしたら良いのかわからない。想像力がわかない。どうすることがより正しいのか。という問題が持ち上がったことがある。
その時に確か田中宗一郎だったと思うけれど、「正解がみつかった、リズムにあわせて手足がしびれたかのようにジタバタするのが正しい」と言うような内容を語っていた。私はもちろんそれを採用している。
スクエアプッシャーのライブを観る観客で、手足がしびれたかのように小刻みに動かしている気持ち悪いオッサンがいたら、それは私だと思うので、そっと見て見ぬふりをしていただければありがたい。
フジロック2016 2日目のまとめ
とりあえず2日目土曜日はここまで。
他にもMan With A Mission(マン・ウィズ・ア・ミッション)とかROVO(ロヴォ)とかLook Park(ルック・パーク)とかTortoise(トータス)とかいろいろあるだろ、という意見ももっともですが、今日はこのあたりで。
マン・ウィズは実はサマソニで見たことがあります。彼ら愉快ですね。しかもライブ中にしゃべるんですね。ちょっと驚きました。Nirvana(ニルヴァーナ)のカバーで「Smells Like Teen Spirit」やってました。
とにかく2日目に言えることとしては、とにかくウィルコが見たい。スクエアプッシャーも頑張って見ようかなと思っております。
それでは3日目(→link)に続きます。