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ブルー・ジャイアント 2巻/石塚真一

 
 自分の好きな女性に自分の好きな音楽を聴いてもらう時の気持ちってどんな風だろう。逆に自分の好きな女性が聴いている音楽を聴く時の気持ちってどんな風なんだろう。

 

 前の巻(1巻)の最後でこの物語の主人公・宮本大(みやもとだい)は初めて人前でサックスを吹く。合わせることは何とかできたものの、ソロの音が大きすぎると客からクレームがつき演奏途中で止められてしまう。そんな状況でも宮本大は「へでもねえや。」といつもの広瀬川の土手でサックスをまた吹く。

 

 2巻は季節的には夏祭りの頃から、仙台市で例年9月の第2土曜・日曜に開催されている定禅寺ストリートジャズフェスティバルまでの期間の出来事。

 

 冒頭、夏祭りの日のエピソード。宮本大は花火大会がおこなわれていることなどかまわずに、いつものように土手でサックスの練習をしていた。そこで水泳部の三輪舞と出会う。三輪舞は1年前、宮本大が海にデートに誘って断られたあこがれの同級生だ。

 ここで宮本大は自分が練習している曲をiPodで三輪舞に聴かせようとする。もちろん三輪舞はジャズなんて聴いたことがない。ジャズと言えば喫茶店でよく聴くBGMのような音楽という認識だ。

 どの曲を聴かせようか迷っている最中、宮本大は三輪舞に、いつもどんな音楽を聞いているのか尋ねる。「私はみんながよく聴く音楽かな…いきものがかりとか、西野カナとか、AKBとか」「あ、大会で泳ぐ前には、エグザイルのライジングサン!」宮本大は何かがっかりしたように「三輪さん…エグザイル!?」と聞き返す。音楽が好きな高校生らしいわかりやすい反応。

 

 この巻で宮本大は師匠となる由井と出会う。由井に何か吹けと言われ「チュニジアの夜」を吹く。モダン・ジャズのスタンダード・ナンバーという奴だ。もちろんジャズ音痴の私はこの曲を知らない。それどころかこの漫画で使用されているほとんどの曲を知らないのでyoutubeの動画を貼っておく。 

 

 

 宮本大がサックスを練習している土手のある広瀬川宮城県仙台市を流れている。この物語は今のところ仙台市を中心に展開している。宮本大の家族は地元仙台のプロ野球チーム・楽天イーグルスのファンのようでいつも順位を気にしている。 

 この巻では宮本大が兄の代わりとして初めてアルバイト先のガソリンスタンドへ手伝いに行った時のエピソードが書かれている。はっきりとした日付は書かれていないもののそれはおそらく多くの人が亡くなった東日本大震災の翌日もしくは当日の様子だった。どこまでも続く車の列に「すいません、ガソリンが少ないので1000円分しか入れられません」と伝えて歩く様子が2ページだけ記されている。

 

 9月。仙台市では定禅寺ストリートジャズフェスティバルが開催される。2015年には25週年を迎える比較的歴史のあるジャズ・フェスティバル。作中でも説明があるようにジャズだけでなく、ロック、ポップ、ラテン、レゲエなどなんでもあり。街中に何十個もステージがあり70万人くらいの人が集まるビッグ・イベント。参加者(演奏者)は700から750組くらい。

 街のいたるところにステージがあり、屋台があり、気軽にドリンクを買ったり、買い物の帰りに見ることができるフェス、参加者(演奏者)は全国から集まってくる。

 

 そんな中、宮本大は突然道路でサックスを吹き出す。曲は「音楽はいいなあ~」「音楽はスゲェなあ~」。エグザイルしか聴いたことのない三輪舞がこの演奏をどう思ったかはわからない。けれど宮本大の演奏がたくさんの人に受け入れられていたことだけはわかった。

 宮本大の演奏は師匠との出会いや色々な出来事により着実にスケールアップしている。圧倒する音にどんどん磨きがかかっている。

 

 ところで宮本大はエグザイルのライジングサンを聴いたりするんだろうか。AKBやいきものがかり西野カナは。ものすごく気になる。

 

 

 

 

 ※ブルー・ジャイアントが何を意味するかは3巻に出てきます。気になる方はブルー・ジャイアント3巻の感想をお待ちください。 逆にブルー・ジャイアント1巻の感想はこちら。

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