マシュー・ベラミーのギター
フジロックフェスティバル2015の土曜日のヘッドライナーとしてMuse(ミューズ)がやってくる。
ミューズはUK出身のロックバンド。もう少しだけ丁寧に言えばオルタナティブ・ギター・バンド。1999年にアルバム「ショウビズ」でデビュー。ボーカリストの声質などにより第二のRadiohead(レディオヘッド)として好意的に迎えられるが、今となってはあの評価はなんだったんだろうかというくらいにレディオヘッドとの類似性はない。00年代に大きくブレイク。3人編成ながらグラムロック、メタルなどを通過したサウンドで若干大仰なところがあり、レディオヘッドよりは若めのファン層に支えられている。
来日頻度がペース的には1年か2年に1度。この間隔で必ず来日公演をおこなっている。夏フェスでもサマーソニック2013、フジロック2010でそれぞれヘッドライナーを務めており、国内にファンも多い。
今年、発表されたアルバム「ドローンズ」では全英だけではなく全米でも1位を獲得するなどバンドも好調だ。
一時期(2000年代半ば)は実力があるけれど日本では人気的にパッとしないバンド、のような評価を受けていた時代もあったけれど今となってはそれは何かの冗談に聞こえるくらいに、むしろ2015年においてはロキノン的ファンの多い洋楽バンドの代表格のような扱いで、その変化に私も驚きを隠せない。
ミューズはライブでのパフォーマンスにも定評があり、それはドラムのドミニク・ハワードが2010年の来日公演の際にガチャピンのカッコウをしてドラムを叩いていたとか、そんな話題性にも恵まれていたことはあるかもしれないけれど、もちろんそんな部分に本質的なところはなく、彼らが定期的に来日し、ヒット曲を作り、そしてそれをかっちりと演奏していることを地道に繰り返している部分から来ている。
私も過去にサマーソニックとフジロックでミューズのライブを見た。特にフジロックでのライブは印象的で、理由としては彼らの演奏そのものもよかったが、それよりも何よりも印象的だったのは私の前でミューズのライブを見ていた大学生ぐらいの若い音楽ファンが、ミューズの演奏が始まると同時にブンブンと首を降りはじめ、そのヘッドバングの勢いは、もう首が取れちゃうんじゃないかと見ているこちらが不安になったほどだ。と、同時にやはりミューズの奏でる音楽とヘヴィ・メタルとでは通底するものがあるのだなと 私は深く感銘を受けた。
ミューズはマシュー・ベラミーがボーカル・ギターを務め、時にピアノを弾いたりする。彼はイケメンでもあり、ステージ上の佇まいもファッションも含めてかなりイカしている。裏声を多用するトム・ヨークを彷彿させるボーカルに印象的なギターリフ、大仰気味なサウンド。これがミューズだ。
ミューズのライブを見ていると嫌でも目につくことがある。それはマシュー・ベラミーのギターだ。もちろん曲によってギターを交換しているけれど、彼らの代表曲「スーパーマッシヴ・ブラック・ホール」の際にマシュー・ベラミーがもっているあのギターは話題にせざる得ない。
このブログ記事の冒頭の動画(Youtube)でもわかる通り、ライブ中に妖しく光っている。そしてライブ後半、この妖しく光る部分に手をあて、不思議なテルミンのような音をモッキュキュモッキュキュ奏でている。誰もが、ミューズのライブを見た誰もが、なんだあのギター!?と必ず思う不思議なギターだ。
私には好きなブログがある。そのブログの名前は「音楽武装(→ link)」という。海外のアーティスト、ボーカリスト、ギタリスト、ベーシスト、ドラマー、DJ、プロデューサーの使用している楽器、エフェクター、アンプ、弦、ピックなどの機材を掲載したブログだ。このブログページを私はニヤニヤしながら眺めている。たとえば最近話題のTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の使用機材はこんな感じ(→link)だ。
その音楽武装でマシュー・ベラミーの使用機材を見てみる(→link)と不思議なくらいにギターの画像が少ない。いや使用しているギターそのものはたくさん掲載されている。けれど、ギターの画像はほとんどのギターで表示されていない。たとえばアレックス・ターナー(→link)やノエル・ギャラガー(→link)、ジョニー・グリーンウッド(→link)あたりと比較してみれば一目瞭然だ。
最初はこのことについて不思議に思った。けれど、これには理由があってマシュー・ベラミーがステージで使っているギターに理由がある。
マシュー・ベラミーが使用しているギターの多くはManson Guitars(マンソン・ギターズ)というメーカー、というよりは工房に近いブランドで、生産数も限られており、そこまで多くの数量が流通しているわけでもない。このマンソン・ギターズの機材はジョン・ポール・ジョーンズやデイヴ・グロールらも使用していることで有名だそうだ。
流通量が少ないブランドのギターのため、他のアーティストが好んで使用するフェンダーやギブソン、グレッチなどと異なり音楽武装では画像が表示されていないということなんだろう。
とにかくマシュー・ベラミーはそんなこだわりのギターを使っている。
もう一度、マシュー・ベラミーの不思議な音を奏でるギターに話を戻したい。あのギターはマンソン・ギターズでのカスタムメイド・モデルらしく、KORG(コルグ)社のカオスパッドが埋め込まれていて、ライブ中に手をかざすことでモッキュキュモッキュキュ音が出る。ライブ中に妖しく光っている部分はカオスパッドだ。
はじめてライブでマシュー・ベラミーのギターを見た時、私は衝撃を受けて、ギターが弾けるわけでもないのに、アマゾンであのギターが販売されていないのか、通販で買えないのか、と調べたことも今となっては懐かしい思い出のひとつだ。
けれど、ミューズのライブを見た音楽ファンが「あのギターかっけえ」と思うことは通過儀礼のひとつではないだろうか。
おまけ 2010年の武道館
曲はプラグ・イン・ベイビー。
ドラムはガチャピンのかっこうをしているドミニク・ハワード。
マシュー・ベラミーのギターはカオスパッド内臓のものではなくエフェクター(Z.Vex Fuzz FactoryおよびMXR Phase 90)内蔵のもの。鏡面になっていてマシュー・ベラミーの手元が反射しています。
さらにおまけ
記事がyoutubeの動画だけだとサムネイルの画像が表示されなくて寂しい感じだったのでアマゾンへのリンクをおまけで追加しますね。見苦しい感じで申し訳ない。
ミューズのライブ盤といえば「Haarp(ハープ)」が名盤中の名盤として有名ですが、こちらの「ライヴ・アット・ローマ・オリンピック・スタジアム」は2013年に発表されたもので、ハープ以降の楽曲を含んでいます。実は今日、このライブ盤の存在に気がついたので音的にどうだ?ということは私には言えないんですが、とりあえず、こんなものもある、ということで。
その前に出たハープの方は本当にライブ盤としては名盤だと思いますのでミューズファンの方はハープを是非。必聴だと思います。
あれだ、自分が聴いてもいないアルバムのアフィリエイトリンクを貼るなんてひどいっとか思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなひどい人が書いてるブログです。どうもはじめまして、そしてこんにちは。
それでは苗場で。