コーチェラ2015 1日目のライブ配信を見た
今年もコーチェラのライブ中継の季節がやってきた。そしてこれは夏フェスの幕開けでもある。
オーストラリアでビッグ・デイ・アウトというフェスが1月にあるものの、世界の夏フェスはやはりこのコーチェラからはじまる。
4月にあるフェスが夏フェスなのか?という疑問はもっともだが、コーチェラではその年に世界各地でひらかれる夏フェスに数多く出演するアーティストがこぞってブッキングされ、コーチェラでのセットリストがそのままその年の夏フェスでのセットリストとなることが多く、またほぼすべての中心どころのアーティストのライブ映像がフルセットで動画配信されるため、やはりコーチェラは夏フェスの先頭バッターとして捉えることが妥当に思う。
事実、フジロックやサマソニにやってくるアーティストもコーチェラには多く登場していて今年もRide(ライド)、Royal Blood(ロイヤル・ブラッド)、Clean Bandit(クリーン・バンディット)、Belle & Sebastian(ベル・アンド・セバスチャン)、Jenny Lewis(ジェニー・ルイス)、FKA twigs(FKAツイッグス)、Ryan Adams(ライアン・アダムス)あたりが出演している。
コーチェラは1999年に始まったフェスであり、メジャーどころのフェスとしてはどちらかといえば後発組にあたり、アメリカ合衆国コーチェラヴァレーにて開催されていてアメリカのフェスながら比較的UKバンドやUKアーティストも多く参加する。その取組はひどく先進的で、多くのアーティストのライヴをYoutubeにより動画配信するなど日本でのこのフェスに関する知名度も高い。特に配信は生配信の後に同一の内容をリピート配信として行い、また巻き戻しも出来る場合が多いため私は近年はコーチェラの配信のある週末はずっとYoutubeを眺めている。
ライブ配信を見ているとアーティストが(もちろん世界中どこのフェスでもそうであろうが)、コーチェーラー、コーチェーラーと何度も叫ぶことも印象的である。
フェスの規模は年々拡大し、当初2日間開催だったものの、現在は金土日の3日間開催、しかも2週間連続で同メンバーを取り揃えて2回開催の計6日間のフェスとなっている。
そんな今年のコーチェラ2015は3日間のヘッドライナーにそれぞれAC/DC、Jack White(ジャック・ホワイト)、Drake(ドレイク)を据えて、正直な話をしてしまうと日本の洋楽ファンからすると少しわからないメンバーではある。特にドレイクはそんなに人気があるんだろうか?と疑問符がつかないわけでもない。
そして今年のコーチェラの特筆するべき点が一点ある。AC/DCがライブ配信をおこなわない。ヘッドライナークラスがライブ配信を行わなかったことは実は私は記憶にない。日本ではそこまで人気のないAC/DCがアメリカでそのように受け入れられているのか興味があった私にはちょっとだけショックだ。
確かにこの2つの難点があるものの今年もコーチェラのライヴ中継はやはりフェス感をフェスの楽しさをきっちりと伝えてくれる美しいものとなっている。
そんなわけで今年のコーチェラについて私が見たライブ中継に関する感想。本当にちょっとだけしか見ていないアーティストもたくさんあるので決して良い感想とは言えないがせっかくなので。
毎回、フジロックやサマソニの見たいアーティスト一覧の時はYoutubeを貼るのが通常ではあるけれど、今回はコーチェラは期間が間もないので貼ってもすぐ消されそうなので紹介画像はすべてアルバムとかEPのジャケットで。
Alabama Shakes(アラバマ・シェイクス)
Twitter上で評判がよかったのがこのアラバマ・シェイクス。
南部的というかアメリカン・ルーツ・ミュージック色が強くソウル的であり、ブルージーなロックバンドで 、ボーカル・ギターのブリトニー・ハワードがもう本当に存在感があるというか、あれっこんなだっけというくらいにボリューム感がある。そしてひたすらにパワフル。
Interpol(インターポール)
ニューヨーク出身のポスト・パンク・バンド。
私はインターポールについて語る際にほぼ同じことしか言わない。
それはインターポールはJoy Division(ジョイ・デイヴィジョン)の影響下にある暗いメロディを持った素晴らしいバンドだとか、インターポールの魅力はライブ映像なんかでは決して伝わるものでなく直接的にライブに出かけないとその魅力はわからないだとか、そんなたぐいのことだ。
バンドのメンバーはいちいちこのUKのニューウェーブ/ポストパンク期のバンドが引き合いに出されることを嫌っているようだけれども、確かに彼らの魅力であるところの儚さ、もろさ、美しさはジョイ・ディヴィジョンとは異なるベクトルでもあるように思う。
またライブの魅力の伝わりづらさはライブ会場でのライティングにあるのだろうか。開場では最高に感じるライティングが映像にしてしまうと決してそうではないとか、そんなことを考えながら配信の映像を見た。
日本での人気が今ひとつ盛り上がっていないけれど、是非来日してライブを敢行してほしいバンドのうちのひとつ。
Tame Impala(テーム・インパラ)
オーストラリア出身のサイケデリック・バンド。
2012年に出したアルバムはNMEのアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝き、フジロック2013にも出演。
コーチェラ2015での演奏は成長感という意味では微妙だったものの、それでも元々地力のあるバンドであり安定感があった。
このバンドには是非また来日してほしいと思っている。
Azealia Banks(アジーリア·バンクス)
ニューヨーク・ハーレム出身の黒人女性ラッパー/シンガー。1991年生まれ。
こちらもTwitter上では評判のよかったアーティスト。まだ1stアルバムが出たばかりの若いアーティストにあたるがすでに圧倒的な風格がある。
ライヴ・パフォーマンスもさることながら、すでにすごく人気があると感じた。かなり早い時間(陽が高い時間)だったのではないかと思うけれど、おそらく一番大きなステージでかなり後方まで盛り上がっていたし、盛り上げていた。
The War on Drugs(ザ・ウォー・オン・ドラッグス)
アメリカ・フィラデルフィア出身のギター・ロック・バンド。
もう聞き飽きたかもしれないけれど、彼らを語る際には必ずついてまわる言葉がある。それはシンガー・ソング・ライターのKurt Vile(カート・ヴァイル)がかつて在籍したバンド。けれどその言葉も2014年までのことだ。2014年に彼らが出した3rdアルバムは各地で絶賛を浴び、正当に評価された。
とはいえ、そんな彼らも日本ではまだ見ぬ強豪というイメージが強い。(来日はすでにしている)彼らのライヴを私は映像も含めて初めて見たけれど、同様の状態の人も多かったのではないのだろうか。
Lykke Li(リッキー・リー)
スウェーデン出身のシンガー・ソング・ライター。
わかりやすく美人さん。
ちょうどライドの前だったので見ていた人も多かったのではないかと思う。個人的にはバリっとした感じで非常に好印象だった。
日本のフェス未登場だと思うので、是非日本のフェスで見たいアーティストのうちの一人。
Ride(ライド)
90年代初頭に活動したUK出身のシューゲイザーバンド。再結成。
AC/DCの配信がなかったために結果的に金曜日(日本時間的には土曜日)のハイライトとなったライド。
主要メンバーであるマーク・ガードナーの容貌が若干変わってしまったため、このバンドの売りは何だろう感があったものの、変わらぬ歌声に目をつぶれば、おっさんどもはあの時代を思い出すことが出来た。
楽曲はもちろん初期の編集盤、1st、2ndの中心のセットリスト。
ほぼほぼ知名度がないであろうアメリカでのフェスで苦戦した感はあったもののフェスシーズンのスタートとしては悪くないのではないだろうか。
Cloud Nothings(クラウド・ナッシングス)
個人的にはコーチェラ2015・1日目の配信でもっとも盛り上がったバンド。2ndは1stほど良いとは思わなかったけれど、それはやはり1stのAttack on Memoryが傑作すぎたからか。
AC/DC
そしてライブ配信がなくて非常に残念な思いをしたのがAC/DC。youtubeを見るとオーディエンスがとったであろう動画がガシガシ上がっているが、やはり画像のクリアさは公式のものとは比較にならないので、やっぱり残念。
でもアンガス・ヤングはいつもどおり半ズボンでギターを演奏していて楽しそうだ。
最後に
コーチェラは配信を見ているだけでもフェスティバル感が伝わってくる素晴らしいサイトと映像の作りだと思う。カルフォルニアの美しさと巨大な観覧車と夕焼けと昼の日差しを映像にうまく取り入れて感動的でもある。
1日目だけだけれど、とても楽しかった。実は2日目も見ているけれど、おそらく時間的に感想は難しいかなとも思っている。
それでも機会があれば2日目の感想も書きたいとは思っている。
それでは。