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拝啓、本が売れません/額賀澪

 

あらすじ

 本書「拝啓、本が売れません」は、出版不況の中、様々な場所へ出向き、様々な人と話をし、一冊でも多く自分の本を売って自分の寿命を延命すべく右往左往する、平成生まれの自称ゆとり世代作家・額賀澪の挑戦の記録である。

この本との出会いについて

  内容についての感想を書く前に、私がどうしてこの本を読むに至ったのか書いておきたい。

 直接的な、本当に直接的な理由としては書店の店頭でたまたま手に取って、面白そうだと思ったから購入をした。書店の入り口付近の目立つ位置にたまたま本書が、平積みで置かれていて、私は表紙を見て、中身をパラパラと確認し、なんとなく良さそうだと思った。それだけのことだ。

 著者の額賀澪という人がどんな人なのかは、この「拝啓、本が売れません」を手に取るまで、まったく名前も知らない作家さんだった。

 この本の何に惹かれて私は手に取り、購入にいたったのだろうか。

 それは私自身が何者であるかということと関わりがあるのかもしれない。

 重要な要素としては私はおっさんである。いや、いきなりそんなことを告白されても困るとは思うが、これは重要な情報でもある。

 私は、自分の職業というものが未だによくわかっていないが、WEB上において、それは決してクリエイティブなものではないが、何かを制作したり、誰かを集客したり、何かを販売したり、それが実態のあるものであったり、そうでなかったりする、そんな仕事についている。そして、それは必ずしも右肩上がりの事業ではない。

 元気のない出版業界に親近感がわかずにはいられない、ということなのだ。

マーケティングの書としての「拝啓、本が売れません」

  まず最初に、著者の額賀澪は、元電撃文庫の編集長・三木一馬氏の元へと赴く。電撃文庫といえば、もちろんライトノベルの世界では大メジャーな文庫レーベルである。その元電撃文庫の敏腕編集者という肩書で紹介される氏は、現在は株式会社ストレートエッジの代表取締役でもある。

 

 この本で語られる内容はマーケティングの基礎と言ってしまって差し支えないと思う。

 い.想定の読者を絞り込む

 ろ.良い作品を作る

 は.ターゲットに届けるために努力をする

マーケティングとは平たく言ってしまえばこういうことだ。その筋をきちんと通す過程がマーケティングそのものなのだ。この書では、これがわかりやすく書かれている。

 ストレートエッジの三木代表は言う。今は情報過多の時代であり、受取り手側も「自分が楽しめるのはどれなのか?」と困惑する状況。そのために、送り手側が「これはあなた達の楽しめるものですよ」と電車の行き先表示のようなのを準備する必要があると語る。

 著者である額賀澪は中高生をターゲットに文芸作品を書く作家だ。2015年に第二十二回松本清張賞と第十六回小学館文庫小説賞を受賞して「屋上のウインドノーツ」でデビューしている。

  この「屋上のウインドノーツ」の内容について三木氏は「キャラクターが弱いですよね」と言い放つ。この小説は単行本の発刊から2年後、文庫本になっている。その際にライトノベルのようなキャラクター押しの表紙に差し替えられている。

 三木氏が言わんとしていることは、行き先表示と内容が一致していない。読み手の事を考えているとは言い難い。つまり上にかいてあるマーケティングの「いろは」が一致していないとの指摘をしている。

虐げられていたオタクたち

 三木氏は世代としては私の世代に近い。

 氏は自分が中高生の頃の思い出を語っている。

 「僕が中高生の頃ってねー、パトレイバーが好きな奴はいじめられたんですよ。オタクだー!オタクがいるぞー!って」

 でも今は違うんですよね、これが。そう続けた三木さんに、堪らず頷いた。

「アニメを観たり、ラノベを読んだり、好きなキャラのグッズを鞄につけたり、そういうことにオープンになったというか、やっても許される社会になりましたよね」

  この感覚は大変よく分かる。はてなブログでも私に近い世代の人が書くオタク系ブログはだいたい、大変、とってもこじらせている。

 いや若い世代でも、もちろんそういった方もたくさんいるが、けれど比率が全然違うように感じる。

 今の若い世代はオタク文化に寛容だ、と三木氏は語るが、彼の考える想定の読者とは若干ステレオタイプで、三木氏の中高生時代のオタク観が強く反映されているように思える。

 「彼はいじめられているんですね。学校が大嫌いで、クラスメイトも嫌いなんです。で、いつも図書館に逃げ込んでいる。そんな彼が楽しんでくれる物語を常に僕は求めています」

 だから自分の関わる物語にはカタルシス持ちたい、とのことなのだ。

額賀澪の書いた初期の作品は必ずしもカタルシスのある、分かりやすく言えば、「苦労やピンチを乗り越えて、勝利をつかむ」といったラスト迎える内容ではない。厳しい現実を突きつけるもの、だそうだ。

 それは、三木氏の考える想定の読者に届ける内容とは異なるということだ。

もちろん額賀澪と三木氏は今回、初めて会ったわけで、作家と担当編集者という関係性ではない。三木氏は額賀作品の想定の読者を考える立場にはない。けれど、額賀澪は三木氏にマーケティングの筋をきちんと通しているのか?と問い詰められている気分となっている。

 

スター書店員

  2人目の取材先として、東北のとある書店の店員が選ばれている。この「さわや書店」は2016年頃より、特異な文庫本の売り方として全国に飛び火した「文庫X」の発祥の地でもある。

 額賀澪に同行する編集者、ワタナベ氏はさわや書店の松本氏に直球の質問を投げかける。

「ぶっちゃけ、今の日本に苦しくない書店なんてないと思うんですよ」

「儲かってるし未来に不安もありませんっていう書店があるなら行ってみたいですよ。地球の裏側だって行きますよ」

わかってはいたけれど、あまりにもストレートな物言い。書店に未来があるなんて誰にも思えないし、将来のことなんてまともに考えられない、これが斜陽の産業に関わるものの正直な思い、ではないだろうか。そして業界にいる人間はその答えを避けつつ日々を過ごしている。

 この問いかけに対し、さわや書店の松本氏はこう返す。

 「僕も長く本屋やっていますけど、書店って昔は情報収集の場だったんですよね。本が情報を得るための重要な手段だった。もうこんな話、聞き飽きたでしょうけど、ネットとかスマホとかがこれだけあふれてれば、書店はもう情報収集の場じゃないんですよ。だから<<情報収集のその先>>が、さわや書店のコンセプトなんです」

 ひとつ面白いと思ったことがある。松本氏の話の中で、ネットとスマホが並列であるかのように語られていること。普通に考えるとレベル感をあわせるため、こういった言い方はしない。ネットという広大な世界があって、そのデバイスのひとつとしてスマホがある、というのが一般的というか、おっさんの感覚では正しい。けれど、ネットとスマホという言い方が、今の時代にあった、正解に近い物言いんだろうな、と思う。

 そんな正しい感覚を身につけた人が書店の進むべき道として「情報収集のその先」をコンセプトとしてとらえている。

 

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ウェブ、メディアミックス、表紙

 「拝啓、本が売れません」の著者である額賀澪は、WEBコンサルタト大廣氏、映像プロデューサー浅野氏、ブックデザイナー川谷氏と出会い、どうしたら本が売れるのか?の答えを徐々に掴んでいく。それはWEB上の展開からの認知であったり、映像化までの近道であったり、既存からの脱却であったりする。

 

 特にブックデザイナーの川谷康久氏については、印象的なブックデザインをおこなっているので見ていただきたい。

 見ていただくと気がつくことがあると思う。

 ↓ 

 

 この記事の一番上に戻っていただいて「拝啓、本が売れません」の表紙を見ていただければわかると思うが、この著書の表紙は川谷康久氏が担当している。 

なるべく巻き込む人を多くする作戦

 額賀澪はまるでRPGでパーティをふやしつつ冒険をする勇者のようである。

 「拝啓、本が売れません」は「なるべく巻き込む人を多くする」作戦が採用されている。著者はお供に編集者を従え、各地に飛び回り、たくさんの人に出会い、知恵を、勇気を、多くの味方を、様々な武器を得ていく。

  その結果として、この「拝啓、本が売れません」が出来たということになる。カバーデザインは最後に出会った川谷康久氏が担当している。

タンスの角に足の指をぶつけちまえ

 私には嫌いな言葉がある。「死ね」というやつだ。

この呪詛の言葉を誰かに向けて言ったとする。その相手が、どんなに嫌いな相手であったとしても、仮に、何かの間違いで死んでしまったとする。もちろん、私の言葉にそんな力はない。けれど、それは最高に寝覚めの悪い状況だろう。

 そんな気持ちの悪い状況を避けるために、「死ね」なんて言うべきではない。けれど、腹が立つことがある。どうしようもなく腹立たしいという人はいる。その状況のための代替の言葉として「タンスの角に小指をぶつけちまえ」という地味な不幸を願うことは、決して悪いことではない。

 額賀澪は語る。

「毒なら持ってますよ!人より多めに抱え込んでますよ!朝井リョウさんと住野よるさんの本を書店で見かけるたびに『タンスの角に足の指ぶつけちまえ」と思ってます」

 なんでも朝井リョウがデビューした時の小説すばる新人賞に応募して一時落ちしたそうだ。住野よるについては、デビューが一週違いで、気がつけば「君の膵臓を食べたい」がベストセラーとなり差がついたことを意識しているとのことだ。

 また自身のデビュー数週間後に又吉直樹が「火花」で芥川賞を取ったことを、印象的な出来事として語っている。普段本を読まない人が書店に来ることになるきっかけとなった、と。

 これが「なるべく巻き込む人を多くする」作戦の原風景となっている。

 

「拝啓、本が売れません」感想とまとめ

 マーケティングを取り扱う書として考えた時にこの書はかなり優れている。

「世界一わかりやすいマーケティングの本」という帯をつけて書店におけば良いと思う。

 ただし、この書はマーケティングを語った書としては優れているが、この本自身のマーケティング戦略については失敗しているかもしれない。

 

 「拝啓、本が売れません」にはいくつかの仕掛けがある。

 表紙のカバーデザインについてはかなり斬新だ。

 また、巻末に文藝春秋社より2018年6月頃に刊行予定の「風に恋う(仮)」の冒頭部分が特別付録として収録されている。冒頭部分と言っても、かなり長く一章まるまるという話だ。他社より刊行される小説の一部が先行して掲載されるというのは異例ではないだろうか。

 

 ところで、この特別付録を読んだ感想としては、私(おっさん)は著者が考える想定の読者ではないな、ということだ。

 確かに思えば、この書の中で、何度も何度も著者自身が「ゆとり世代」であることを強調している。私は当該の世代ではないため、なんだか痛々しいなという感想を抱いていた。

 何故、この人は自分をカテゴライズして語るのだろうかと。いや、もちろん笑いを誘うためだとは思う。おそらくは同世代感で共有されるべき自虐ネタなんだろうな、と思った。私と同様の感想をいだいた読者、他にもいるんだろうか。

 

 私が言いたかったことは、著者が想定した読者のもとにはこの本はあんまり届いていないんじゃないか、と。

 

 「本が売れません」という言葉に意味することは2つあるように思えて仕方がない。クリエイティブな側面としての悩みと、物販としての現実的な悩み。

 もちろん現実的には先にあげた二つが螺旋のように絡み合ったいるのは分かっている。

 私がこの書を手に取った理由としては、何かを販売したり、誰かを集客したりする手助けとしてこの本が何かの役に立つかもしれないと思ったからだ。そこには決してクリエイティブな側面はない。そしてある種、思っていたことに近い内容でもあった。

 でも、それはおっさんに刺さる内容だったんじゃないかな、と思った。

 

 あるいは、10代20代の読者は今回狙っておらず、おっさんを釣り上げようとしているなら、私はうまく釣り上げられたことになる。著者の掌の上でくるくると踊っていたことになる。 

 

 それとも、そもそも若い人がクリエイテイブな側面の物語や、夢のある物語を好むというのはおっさんの幻想なのか。

 

 

ライラックってどんな花だろうたぶん赤くて 5cmくらいの冬に咲く花

 

1993年のロック

 昔に比べて洋楽と邦楽の聴き手の垣根はなくなったと思う。

 今、2018年において、海外の音楽最高、邦楽は全部すべてまるごとダサい、なんて発言するやつは滅多にいないと思うし、日本語で歌ってるだけでもうダメとかそんなことを思ってるリスナーはかなり、人として、希少価値が高いと思う。

 フジロックのはじまりからすでに20年がたち、洋楽と邦楽、ロックとポップとテクノとヒップ・ホップとアイドルが一緒にある世界はすでに出来上がっている。もうちょっとたてば声優とだって融合するし、ヴァーチャル・アイドルとだって融合する。

 

 ここで1993年頃の話をしたい。

 

 私は分かりやすいくらいの海外音楽かぶれだった。そして当時はそんな時代でもあった。洋楽を聴くもの邦楽を聴くべからず。UKロックを愛すものUSの音楽を聴くべからず。メタルを聴くものパンクスと対立すべし。メタルを愛すものヒップ・ホップを音楽と認めることなかれ。今よりも音楽に対する戒律がきつかった。

 私ももちろんそれに従った。

 日本語で歌っている音楽がすべて馬鹿に見えた。今思えばバカバカしい話だが、当時の私にはそう思えたし、従わざる得なかった。

 ただし、言い訳はさせてほしい。それはすなわち、時代も悪かった。90年台の初頭は日本の音楽シーンもけっこうひどい状況で、流行ったのは「愛は勝つ」とか「SAY YES」とか「どんなときも」とか「ラブ・ストーリーは突然に」とか「それが大事」とか、そのストレート過ぎる歌詞により聴いていると赤面し、真正面から立ち向かうことなく生きているのが嫌になるような、若者を厭世的な気分にさせる曲とフレーズばかりが次々と量産されている時代だった。

 海外の音楽に逃げたくなる気持ちは若干は理解してほしいところではある。

 

ブランキー・ジェット・シティという名の衝撃

 ところがある時、とあるラジオ番組を聴いていると私に衝撃が走った。日本語歌詞でとんでもない歌を歌っている連中がいたのだ。

  

 彼らは3人組のバンドでアーティスト名は「ブランキー・ジェット・シティ」。その時にかかっていた曲はブランキー・ジェット・シティの3rdアルバム「C.B.Jim」の冒頭の曲、「PUNKY BAD HIP」だった。

彼らの楽曲はロック的でもありロカビリーのようでもあり、楽曲そのものも魅力的ではあったが、もっとも印象的だったのは歌詞だった。PUNKY BAD HIPはこんな出だしからはじまる。

 

新しい国が出来た 人口わずか15人

それも全員センスのない 単車乗りばかりが揃ってる

作詞・作曲 KENICHI ASAI ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「PUNKY BAD HIP」

 

 

このアルバムの楽曲の歌詞にはイカしたというかイカれた歌詞が延々と書き連ねられている。個人的な感情としては全曲、全歌詞引用したいくらいの気持ちはある。

アルバム「C.B.Jim」にはたった一度だけ「C.B.Jim」という言葉が登場する。それはこんな感じになっている。

フロントフォークが一番長いのはC.B.Jim

作詞・作曲 KENICHI ASAI ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「PUNKY BAD HIP」

 アルバムと同一タイトルの曲つまり「C.B.Jim」という曲はなく、たった一度だけこのアルバムタイトルと同じ「C.B.Jim」という言葉がM1の中でシャウトされる。個人的な感想としてはなんとクールなバンドなんだと、思ったものだ。

 

 私はここで何かを皆さんに伝えようとしている。それは何かと尋ねられたならば、25年前私はブランキー・ジェット・シティの歌詞にやられた、ということなんだ。

分かるかい オレは殺し屋

魅力的なおまえの

その白い足に

ミートソースをぶっかける

作詞・作曲 浅井健一 ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「D.I.J.のピストル」

ブランキー・ジェット・シティの歌詞にやられてから私はドキドキするようなイカれた人生ってやつに憧れるようになった。

「3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ」では、弾丸のように言葉が次々と繰り出され、本当にもうドキドキした。

月へ行く予定だったロケットが湖のほとりに突き刺さった

そこに住んでいたペリカンの親子は即死だったらしい

そんなことを口走るような夜はやばいぜ

作詞・作曲 浅井健一 ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ」

店中大騒ぎさ でもルールはちゃんと決まってる

紫の照明がオレンジに変わったら ダンスを始めなくちゃいけない

そう 誰も踊ったことのないようなお前だけのダンスを

作詞・作曲 浅井健一 ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ」

「車泥棒」の中に出てくる、「いつの日か 清潔な襟をした精神科の医者がオレにこう訊くだろう」というのは本当にもう、お気に入りのフレーズだ。

いつの日か 清潔な襟をした精神科の医者がオレにこう訊くだろう

あなたはどんな気持ちで車を盗むのか と

オレはきっと こう答えるだろう

子供の時に よく飛び降りた ブロック塀が壊された時の気持ちで と

作詞・作曲 KENICHI ASAI ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「車泥棒」

 このアルバムのラストは大曲「悪いひとたち」で大円団を迎える。この楽曲はストリングスを使い9分7秒の壮大な曲に仕上げられているが、その歌詞もまた良い。この多がりな曲を浅井健一は何かを語るように歌い上げていく。歌詞の強さというものを私は「悪いひとたち」でやっと知ることができたんだと思う。

 ありきたりの言葉で表現するならば私はこのアルバム「C.B.Jim」を聴くことにより、バットで頭を思い切りぶん殴られたような気分になった。日本語の歌詞を歌っているアーティストの中にもとんでもない事を歌い上げている連中がいる、ということをブランキー・ジェット・シティによって知った。

お願いだ 僕の両手にその鋼鉄の手錠をかけてくれよ 縛り首でも別にかまわない

さもなきゃお前の大事な一人娘をさらっちまうぜ

 

作詞 KENICHI ASAI 作曲 TOSHIYUKI TERUI ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「悪いひとたち」

日傘をさして歩く彼の恋人は妊娠中で

お腹の中の赤ちゃんはきっとかわいい女の子さ

 

作詞 KENICHI ASAI 作曲 TOSHIYUKI TERUI ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「悪いひとたち」

 

 そして今日の話題の中心はアルバム「C.B.Jim」の中の一曲「ライラック」について。

 このアルバムをはじめて聴いたのはの1993年ということになる。当時、ミュージック・スクエアというラジオ番組をNHK-FMで放送していて、その月曜日のパーソナリティが渋谷陽一だった。

 渋谷陽一といえばもちろん、雑誌ロッキングを発行するロッキング・オン社の社長で元編集長でもあり、通常このラジオ番組では、海外のロックのみを取り扱っていたが、なぜかこの日は邦楽特集だった。その中で取り上げられたアーティストがブランキー・ジェット・シティの「C.B.Jim」だった。渋谷陽一が自分のラジオ番組しかもレギュラー放送の中で邦楽アーティストをかけることは、かなり異例なことで、あまりおこなわない志向の回だったように思う。

 その中で渋谷陽一はこのアルバムについて数曲紹介をおこなったように記憶している。私はびっくりして、すぐにこのアルバムを買いに行った。

 そして繰り返し、繰り返し、このアルバムを聴いた。当時はiPhoneやMP3プレイヤーなんてものはなく、私はディスクマン(ポータブルCDプレイヤー)を愛用していたので、ディスクマンでこのアルバムを移動中も何度も何度も聴いた。

 このアルバムは全編クライマックスで捨て曲なしのアルバムだと私は認識している。

 皆さんに何をお伝えしたいのかと言えば、単純に、私は1993年からずっとこのアルバムが好きだったということ、だ。

でもライラックってどんな花 時々耳にするけど どんな花なのか知らない

たぶん赤くて 5cmくらいの冬に咲く花

そんなに人気はない花だと思うけど

 

作詞 浅井健一 作曲 浅井健一 ブランキー・ジェット・シティ「C.B.Jim」収録「ライラック

 私も花にずっと興味がなかった。だからライラックという花がどんな花かは知らなかったし、今もよく知らない。なので「ライラック」について知っている知識はこの曲のこの部分だけだった。

2018年のインターネット

 ここで話が2018年まで飛ぶ。

 ある日はてなブックマークを見ていたら、ライラックという花が「赤くて 5cmくらいの冬に咲く花」ではない、ことについてコメントされていた。

 驚いた。あまりにも驚いたのでググった。

ヨーロッパ原産。春(日本では4-5月)に紫色・白色などの花を咲かせ、香りがよく香水の原料ともされる。 日本には近縁種ハシドイ (Syringa reticulata) が野生する。開花はライラックより遅く、6-7月に花が咲く。ハシドイは、俗称としてドスナラ(癩楢、材としてはナラより役に立ちにくい意味)とも呼ばれることがある。

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ウィキペディア」より

上の文章も画像もウィキペディアからの引用。

 まったくもってブランキー・ジェット・シティの中で歌われている「ライラック」とはかけ離れたものだった。

 私はずっとずっとライラックという花について勘違いしていたことになる。

1980年代の村上春樹

 実はかつてこれと似たような経験をしたことがある。

 私が高校生の頃、村上春樹の小説を初めて読んだ時のことだ。彼はそのデビュー作「風の歌を聴け」の中で、事あるごとに「デレク・ハートフィールド」という作家の文章や、言葉、生き方を引用していた。デレク・ハートフィールドはあまり有名ではないけれど、不毛であり、問題をかかえ、そしていくつかの著作物を残したかのようにように思えた。

 高校生だった私もデレク・ハートフィールドに興味がわき、書店や図書館でその著作を探したが、残念ながら、それを見つけることは出来なかった。

  もちろん見つかるはずなんてないんだ。デレク・ハートフィールド村上春樹のでってあげた虚構の作家なのだから。

 優れた作家は、ありもしないものを、さもあるかのように語る。私はその罠にあっさりと落ちた。

 

 ブランキー・ジェット・シティの歌うライラックはもちろん実在する花だ。ただし、歌われているライラックは歌い手の想像の産物でしかない。実在するものを歌った歌ではない。

 20年経って私はやっとそのことに気がついた。

 

 

バレンタインデーなのでサマソニが参加アーティストにブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインを追加

 

 今日づけでサマーソニックの第3弾が発表されました。今年のサマソニのハイペースっぷりには驚かされるばかりで、Noel Gallagher's High Flying Birds(ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)とBeck(ベック)のヘッドライナーを発表したかと思うとソニックマニアにはMy Bloody Valentineマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)とNine Inch Nailsナイン・インチ・ネイルズ)を揃え、Chance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)、St. Vincent(セイント・ヴィンセント)、Queens Of The Stone Ageクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)、Thundercat(サンダーキャット)、Tame Impala(テーム・インパラ)と矢継ぎ早に追加アーティストを次々と重ね、そしてみんな大好きエリー・ロウゼルに率いられたWolf Alice(ウルフ・アリス)もそのナを連ね、クリエイティヴマンの清水代表はもはや何かに取り憑かれているのでは?と心配になるほどです。今日、バレンタインデーの発表ではBullet For My Valentineブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン)も登場となりいつも通りちょっと笑いの要素も追加されています。いやブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインは良いバンドですよ。私も大好きです。もうこれで2,3アーティストのキャンセルがあっても怖くないと言った感じでしょうか。

 

 年明け最初の更新が単にアーティスト名を羅列しただけのひどい感じの更新となってしまいましたが、今年のサマソニ2018&ソニマニはヘッドライナー以外の海外アーティストの名前にパワーが有りすぎる感じなので、ちょっとなんか言いたいなと思った次第です。

 

 ところで冒頭の画像ではブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインの1stアルバム「Poison」の画像を使っているんですが、私は彼らの作品の中では1stが特に好きです。

 この1stアルバムの収録曲に「Suffocating Under Words of Sorrow (What Can I Do)」という楽曲があり、2005年に発表されていると思いますが、当時HMVで輸入盤CDを購入するとPlaylist 5 British Anthemsという名前のコンピレーションアルバムをただでくれたんです。で、その中に入っていた曲が「Suffocating Under Words of Sorrow (What Can I Do)」だったんですね。

 当時メタルから私は遠ざかっていました。が、この曲を聴いてメタルの良さを再び思い出し、久しぶりに、15年ぶりくらいに手に取ったメタル系のアーティストがブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインということになります。

GoogleとYouTubeしか閲覧できないインターネッツ

 

この文章(PCからネットの接続に支障が出た話)について

 この文章は2017年9月ごろに私のPCのネット接続が、GoogleおよびYouTubeなどIPv6しか繋がらなくなったことについて書かれた、記録です。誰かのためになる記事かどうかは分かりませんが、個人的な解決には至っています。

夏フェス

 フジロックサマソニにそれぞれ1日だけ行ってきました。

 本当は両フェスともフルで行きたかったんですが、無理でした。

 フジロックは3日の通しチケットを買っていたんですが、2日分無駄にしました。

 サマソニは前日のソニックマニアと1日目の夜のホステス・クラブ・オールナイターにも行ったので時間的には24時間以上いたことになります。

 とにかくそんな夏を過ごしました。

 個人的にもそれなりに忙しく、気がつけばあっという間に9月に入っていました。

 

自宅のPCからインターネッツが繋がらなかったこと

 私が夏フェスで浮かれている頃、自宅で異常事態が密やかに進行していました。

  いつからそうだったのかは、今となってはわかりませんが気がつくと自宅のPCからインターネッツがつながっていない状態でした。iPhoneからの閲覧はできました。

 私の家のインターネット環境は、ONUから無線LANルーターを利用してPCとスマホなど(iPhone/iPad)に繋げている状態です。

 PCは毎日起動しているわけではなく、iPhoneはずっとつながっている状況でしたので、いつからPCだけがネット接続できない状況になっていたのかは分かりません。

 正確に言えばPCからもネットにはつながっていました。閲覧できるページが非常に限られていたんです。すぐに確認できたサイトはGoogleYouTubeだけでした。後でネットで調べた情報ではFaceBookも閲覧できていたとは思います。ただし、AmazonもYahooもはてなも、とにかくほとんどのサイトが閲覧できませんでした。

 Googleでの検索はできてもその後のページに移動することが出来なかったため、ネットとしては機能していないのと同義と感じたので、インターネッツに繋がらないと表現しました。

  とにかくPCからはGoogleYouTubeのみ閲覧可能、iPhoneからは全ページ閲覧可能という状況でした。  

なぜインターネッツにつながらないのか

 最初に疑ったのは、グーグルによる世界制覇の野望です。

 そもそもおかしいじゃないですか。

 彼らの掲げるミッションをご存知ですか。

 

世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする

  話をまとめさせてもらうと、グーグルが世界の情報を握って、俺たち(=グーグル社)が世界の情報の交通整理をやってやるよって意味です。

 情報を制すものが世界を制す、ですよ。かれらの野望は世界制覇そのものです。野心無きものが「Don't Be Evil」なんて言いません。なぜなら、自身がEvilであることを知っているからこそ、Evilであることを覆い隠そうとしているわけですよ。

 そしてついにその牙を剥き出しにしてきたんです。私のネット環境がGoogleYouTubeしか閲覧できないのは、そんな彼らの尖兵が潜り込んできたに違いありません。

 じゃあなぜiPhoneでは閲覧できるのか?という疑問が残ります。

 そんな疑問を提示してくるあなたはたいへん賢いですね。それはもちろん世界制覇を狙っているのがGoogleだけじゃないってことですよ。彼らはおそらくレジスタンスです。あ、別にアップルが正義とかそんなことを言いたいわけではありません。Googleとは思想の違う世界制覇を狙う抵抗勢力という意味くらいに受け取ってもらえると嬉しいです。

 

 グーグル社は私がグーグルサイドからしか情報を閲覧できなくし、私に思想教育をしようとしているわけですよ。

 それに対し、アップルはiPhoneという情報端末を使うことにより私にレジスタンス側の軍門に降れと、働きかけとるわけですよ。

 

 そんなことを考えていたら次の日の朝になっていました。

 

次の日の朝に考えたこと

  グーグル社やアップル社と一戦交えることも重要ですが、私はインターネッツで仕事をするしがないプロレタリアートですので、この二社とは穏便にすませたいと考えました。この二社が世界征服の野望を露わにしたという考えからいったん目をそらしました。

 

 状況を整理します。

 同じONUから無線LANルーターを使ってインターネッツを分配。

 iPhoneはすべてのサイトが閲覧可能。

 PCは多くのサイトが閲覧不可、ただしGoogleYoutubeは閲覧可。

 httpsとhttpの違いかとも思いましたが、httpsサイトでも閲覧できないサイトは多数あるので、SSLが直接的な理由というわけでもないようです。

 

 PCでは利用しているけど、iPhoneでは利用していないもの、なあんだ?

 

 1人の容疑者が浮かび上がってきました。 

 

セキュリティソフト

 PCで利用していて、iPhoneでは利用していない。かつPCでは全く接続できないわけではない。

 セキュリティソフトが悪さをしているのでは?と思いました。

 

 だいたい私はあの野郎、つまりセキュリティソフトをもともと信用していないんです。だってそうじゃないですか。あいつ、紛らわしいじゃないですか。いつも人を驚かせる大袈裟なメッセージばかりだしやがって。しかもPC重くなるし。亀仙流の修行じゃないんだから、なんでPCにウェイトをかけた状態でつかわなければ、いけないのかって話ですよ。

 

 とりあえず、セキュリティソフトのファイアーウォール機能をオフにしました。ついでにWindowsのファイアーウォール機能もオフにしました。胸がすく思いがしました。

 結果、つながりませんでした。インターネッツ。何も変わらず。

 腹が立ったので、いっそのことセキュリティソフトをアンインストールしてやろうかと思いましたが、次回の契約更新が2018年6月になっていたのでやめました。とりあえず、支払っているものがあるので、全機能をオフにするだけで手を打ちました。

 けれど、やはりつながりませんでした。状況は変わりませんでした。

 

 私は手の平を返し、セキュリティソフトにお詫びの言葉をかけ、元の状態(すべてオン)に戻しました。

 

よく考えたら無線LANの中継器を導入していました

  グーグル、アップル、セキュリティソフトの会社と色々なIT企業に対し、私は呪詛を言葉を繰り返してきたわけですが、もう一度冷静に考えてみました。

 夏フェスに行く前と、現在の違いを。

 思い当たることがありました。

 無線LANルーターとPCおよび私の部屋が若干遠いために、無線Wifiの中継器を一つ入れているんですね。

 そう言えば、これを入れて以降、PCがインターネッツに接続できていない気がしています。

 この中継器はなしでも、基本的に電波は届くので、いったんこの中継器を投げ捨てました。

 無線LANは届いています。けれど、やっぱり状況はかわりません。PCからはGoogleYouTubeにしか繋がりません。

 投げ捨てた中継器を元に戻しました。コンセントタイプなので、もう一度コンセントにつけるだけで復旧します。

有線LAN

 無線LANルーターからPCまでは少し距離があるんですが、いったん有線のLANで繋げてみることにしました。ただ状況から無線LAN受信機が壊れているわけでも、無線LANの中継器が壊れているわけでも望み薄だろうなとは考えていました。

 

 結果はもちろん、状況変わらず。

 

iPhoneGoogleの軍門に降る

  素直にiPhoneでググりました。

 最初にグーグルとiPhoneをまとめてディスっていたので若干恥ずかしかったんですが、素直にググりました。PCでググっても情報のあるページに遷移できないのでiPhoneでぐぐりました。

 実は同じ状況の方がたくさんいらっしゃいました。

 状況もそのものずばりでGoogleYouTubeしか閲覧できない方々です。

 解決方法はいくつかあったんですが、やはりセキュリティソフトの問題、DNSの設定の問題(これはグーグルのDNSを利用することにより解決されているらしいです)、などですが、私の場合は違いました。

 

解決編(私の場合)

  結論から言えばPCからの接続がIPv6でのみ可能で、IPv4での接続が出来ていなかったんです。

 なぜGoogleYouTubeしか閲覧できなかったのかと言えば、その言い方は正確ではなく、正しくはIPv6対応しているページしか閲覧することができなかった、ということだったようです。

 

 下のページでIPv4およびIPv6の接続確認ができます。

IPv6対応のページなので同じ症状の方も確認できます)

 

IPv4/IPv6接続判定ツール

 

 さて状況はわかりました。IPv4での接続が不可で、IPv6の接続が可能。

 何故なんでしょうか。どうしたらIPv4で接続できるんでしょうか。

 

 まずは何故なのか。

 これはおそらく無線LANの中継器を入れたことが間接的な理由っぽい、です。

 どこかのブログに書いてあった言葉をから想像するに、中継器の導入により、PC側のIPv4IPv6の切り替えがうまくできなくなり(設定が書き換わってしまったのか、安価な中継器なので能力不足なのかは、私の理解力不足のため不明)、IPv6しか拾えなくなってしまった模様です。

 

 次にどうしたのか。

 コントロールパネル > ネットワーク状態とタスクの表示 > アダプタ設定の変更 > 該当のネットワーク > プロパティ > インターネットプロトコルバージョン (TCP/IPv4) > プロパティ

 でIPアドレスの自動取得をやめ、IPアドレスサブネットマスクデフォルトゲートウェイを手打ちにしました。

 ただ、もともとIPアドレスiPhoneiPadとコンフリクトすることが嫌で、自動取得ではなく、重複しないIPアドレスを入力してあったような気がしてるんですけどね。

 

 とにかくこれで無事にGoogleYouTubeだけでなく、他のYahooやAmazonはてなブログスポナビ競馬などのサイトに閲覧できるようになりました。

まとめ

 いろいろなインターネッツに接続できるようになった私は、さっそく、スポナビ競馬で日曜日のレースのオッズなどを調べていそいそと競馬場にでかけました。

  めでたし、めでたし。

 

 

 

 競馬はボロ負けでした。

 あと、Googleとアップルのことを悪く言ってすみませんでした。

 お詫びをさせていただきます。

 ごめんなさい。

  

 

 

フジロック2017 2日目 私が目玉だと考えるバンド&アーティスト

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フジロック2017 2日目(土曜日)のメモ

 夏です。暑いです。

 そして気がつけば来週いきなりフジロックです。

 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 私はまだ、長靴もトレッキングシューズも帽子もTシャツもカッパもキャリーバッグも何ひとつ準備していない状態です。

 今年の夏は猛暑とも天候不順とも言われておりますが苗場はいったいどんな天気となるのでしょうか。

 

 そんなわけで1日目(→link)に引き続き2日目に登場する注目するアーティストを紹介するコーナーです。

 

 今年フジロック2017土曜日は私個人としては目玉だと考えるアーティストが総登場いたします。

 そうです。最強のライブバンドと信じて疑わないLCDサウンドシステムや、あのテクノ・モーツアルトことエイフェックス・ツイン、その他にもあの人(小沢健二)やこの人(小山田圭吾)、そのバンド(テンプルズ)まで登場します。

 また去年のリベンジのつもりなのかアヴァランチーズも登場です。凄い。そして私は見たいアーティストを全部見ることができるのでしょうか。

 2日目は注目の邦楽アーティスト/女性アーティストも登場します。

 とても楽しみです。

  

1.サンボマスター

 サンボマスターは日本の オルタナティヴ・ギター・ロック/パンク・ロック/ソウル・ミュージック・バンド。

 2日目のグリーン・ステージ一発目はご存知サンボマスター

 サンボマスターのライブは一度だけサマソニのビーチ・ステージで目撃したことがある。そのライヴの様はサンボマスターのパブリックイメージそのままで、ヴォーカル・ギターの山口がひたすらオーディエンスを煽り、オーディエンスをひたすら踊らせ続ける圧巻のライブ内容だった。

 一般的にサンボマスターといえばパンク・ロックであり、ソウル・ミュージックという印象が強い。それは確かに間違ってはいないが、同時に彼らはダンス・ミュージックを3ピースで奏でているバンドでもある。The Stone Rosesザ・ストーン・ローゼズ)は「90年代はオーディエンスの時代だ」と言ったが、サンボマスターはそれを愚直なまでに実行しているバンドという風に私には見える。

 サンボマスターはダンス・ミュージックを奏でているバンドであるとともにボーカル・ギター山口の語りはとても優しい。心優しい男の激しいダンス・ロック。それがサンボマスターの私なりの解釈ということになる。

 

2.Cocco(コッコ)

  コッコは沖縄出身の女性シンガー・ソング・ライター。歌姫。

サンボマスターに続いて邦楽アーティストの紹介となる。サンボマスターと同様にフジロックでもっとも大きなグリーンステージへの登場となる。女性アーティストながら、私の中ではパンクにカテゴライズされている。

 個人的な印象としては女性アーティストと夏フェスの大きなステージは食合せが悪いと考えている。理由としては単純でスクリーンに自分の姿を映すことを嫌う女性アーティストが多く、視覚的な楽しさを獲得出来るポジションが限られているからだ。

 私はコッコのすべての楽曲の中で、ベタではあるけれど「強く儚い者たち 」が好きだ。「あなたのお姫様は 誰かと腰を振ってるわ」という強烈な歌詞のインパクトもさることながら、その直後に「人は強いものよ」と続けているように、しなやかさとシニカルさをあわせ持つ歌手としての強さを感じている。

 

3.The Avalanches(アヴァランチーズ)

  ザ・アヴァランチーズはオーストラリア出身のエレクトロニカ・サンプリング・ユニット。もしくはヒップ・ホップ/ネオ・サイケデリア。

 去年リリースされたアルバム「ワイルドフラワー」以降ライヴ活動を精力的に行っている。現在のメンバーはロビー・チャターとトニー・ディ・ブラーシの2人で、ステージ上には何人かのラッパーと女性ヴォーカルが曲により参加する。

 フジロック2016 3日目の時の注目アーティスト紹介(→link)でも取り上げたが私の注目アーティストでもある。ただし昨年は残念ながら来日およびフジロック出演がキャンセルとなり大変残念な思いをした。

 音源を聴くと全編サンプリングにより構築された甘美なメロディ、映画のような享楽姓、そして音楽の全てがそこにある。ヒップホップであり、サイケデリックでもある。

ところがライブの動画を見ると音源を聴いていた時と風景がガラリと変わり、まるでJagwar Ma(ジャグワー・マー)を思わせるようなサイケデリックさが登場する。

 

4.The Lemon Twigs(ザ・レモン・ツイッグス)

 アメリカ・ニューヨーク出身のオルタナティヴ・ギター・ロック・バンド。昨年10月にイギリスの名門インディーレーベル4ADよりデビューアルバムをリリースしたばかり。

 レモン・ツイッグスはダダリオ兄弟2人を中心とするバンド。

ダダリオ兄弟つまり兄ブライアンと弟マイケルはともに、ヴォーカル・ギターとドラムスを担当し、メイン・ヴォーカルではない時にドラムスに入る形式。2人の他はベースとキーボードで構成されており、音としてはシンプルなインディー・ロック。

 少し昔懐かしい感じのする、アレンジも含めて70年代後半から80年代前半の雰囲気がある。

 ダダリオ兄弟は若く勢いもあり、ルックス的にも印象がよく、音源よりもライヴで実力を発揮するタイプ。

5.Death Grips(デス・グリップス)

 デス・グリップスはアメリカカリフォルニア州サクラメント出身のヒップ・ホップ・バンド。 ヒップ・ホップ・ユニットという言葉よりもヒップ・ホップ・バンドという響きが似合う。ヴォーカル・スタイルはヒップ・ホップ/ラップだが、奏でる音はパンク/ハードコアのようであり、ノイズ/インダストリアル・ロックのようでもある。

 フジロックには二度目の登場。前回の登場時から注目していたが、フジロック2013出演の際は深夜帯の登場であったため私は未だ彼らのライヴを体験していない。

 この記事を書くためにいくつかの彼らの動画を見たが、その感想は「不穏」である。「暴動直前」とか、「事件前夜」、といった形容が頭に思い浮かんだ。正直に言ってしまえば少しライヴを見ることを躊躇してしまいそうだ。オーディエンスも含めてどこか野蛮な、原初的な雰囲気がある。

 けれどその野蛮さこそが、最近のロックの失ってしまった、魅力、引き寄せる力ではないかと私は思っている。 

 

6.Corneliusコーネリアス

  コーネリアスは日本のオルタナティヴ・ロック・ユニット。小山田圭吾によるソロ・プロジェクト。

 コーネリアスについてジャンルを特定することは実は難しい。実験音楽でもあり、ギター・ロックでもあり、ドリーム・ポップでもあり、アート・ロックでもあり、初期はフリッパーズ・ギターの資産を引き継いだ渋谷系でもあった。おそらくはコーネリアスについてジャンルを限定することはひたすらに無意味だと考える。小山田圭吾は一人の音楽家として好きなように音楽を奏でた結果がコーネリアスという形という風に見える。

 奇しくもかつての盟友・小沢健二と同日でのフジロック参加となる。

 6月に入ってから新譜「Mellow Waves」をリリース済みで、国内でのライヴをすでにおこなっており、その際のセットリストとしては「Fantasma」「POINT」「Sensuous」そして今回の新譜「Mellow Waves」から数曲づつの内容となっていたようだ。秋からツアーが予定されており、今回のフジロックでは「Mellow Waves」からはそこまで多くの楽曲を演奏しない予感がある。その代わりに前作の「Sensuous」からの楽曲が多めになると想像されている。

 ※申し訳ございません。比較的個人の妄想を垂れ流す当ブログですが、コーネリアスのセットリストに関しては他のブログにそう書いてあったので、私もそう思うという内容です。

 

7.Temples(テンプルズ)

 テンプルズはイギリス出身のサイケデリック・ロック・バンド。

前回のフジロック登場の際にも書いたが(→link)、今もっとも注目するべきUKロック・バンド。その気持は今でも変わらず。音の雰囲気はThe Beatles(ザ・ビートルズ)のサイケデリック期の美しさに通じるものがある。

 今年3月にリリースされた2ndアルバム「Volcano」も、1stアルバムに違わぬ完成度となっており、今後のUKロックの主役となることはないであろうけれど、名脇役としてシーンに華を添えてくれるぐらいの存在感はある。

 おそらくテンプルズは彼らの奏でている音楽のように、大きく化けるというよりも着実に地位を確固たるものにしていくと考えている。

8.小沢健二

 小沢健二は日本のシンガー・ソング・ライター。

 今年はフジロック注目アーティストメモには邦楽アーティストの紹介が多い。もちろんフジロックそのものの変質という部分もある。けれど、注目するべきアーティストが多く出演していることも事実だ。

 昨年(2016年)、小沢健二はライブツアーを実施した。私もライブツアー序盤の名古屋で小沢健二を体験した。その時の様子はブログにも書いた(→link)。ツアー当初はチケットは原価割れでの取引されていたようだが、ツアーが進むとこのチケットはむしろ高騰した。序盤でライブを目撃したお客さんがリピートのチケットを求めたからだ。それぐらいにライブの出来は良かった。

 その時に思ったことがある。このライブはフジロック向きだなと。インディオのような羽飾りをつけたバンドメンバーはさながらフィールド・オブ・ヘヴンの住人のようだった。ステージとしてはグリーン・ステージが似合うように感じた。いやホワイト・ステージもお似合いだろう。私の妄想は広がった。

 予感のようなものがあった。小沢健二フジロックに出演するのではないかと。

 残念ながらフジロック2016ではこの予想は外れた。

 けれど1年越しのフジロック2017で小沢健二はホワイトステージに登場する。そして今回のライヴは前回のツアー/セットリスト内容の踏襲という噂もある。ある種、私の期待通りで嬉しい限りだ。

 また、盟友スチャダラパーも金曜日に出演予定となっている。「今夜はブギーバック」が演奏されることも間違いない。

 もうひとつ、今年にはいってはら小沢健二はシングルを発表している。楽曲的には昨年のツアーで披露された新曲「流動体について」だ。

 この楽曲が凄い。

 何が凄いって歌詞が凄い。

 この曲は間違いなく演奏されると思うので大変楽しみにしている。

 

9.Aphex Twinエイフェックス・ツイン

  エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスはイギリスはコーンウォール出身のエレクトロニカ/ダンスDJ。通称テクノ・モーツアルト

 ジャンルはテクノであると言われるが、実際にはテクノであり、アンビエントであり、アシッド・ハウスであり、ドラムン・ベースであり色々なジャンルを多岐に渡り横断的に奏でるDJ。DJというよりは音楽家こそエイフェックス・ツインにはふさわしい言葉。

 エイフェックス・ツインのステージ/演奏時間について、私は大歓迎している。流行のEDM勢のように分かりやすくオーディエンスを煽ったりすることのないリチャード・D・ジェイムスではあるけれど、おそらくヘッドライナーという位置づけである以上は大掛かりな映像を準備しているものと思われる。

 私は実はエイフェックス・ツインのライブを一度しか見たことがない。それはサマソニの深夜帯に登場した時のことだ。幕張メッセの中の室内ステージでのDJプレイも印象的で悪くはなかった。

 今回はあの時以上の大きな野外ステージでリチャード・D・ジェイムスが登場する。

 大音響のテクノサウンドと大きなノイズをグリーンステージのオーディエンスに浴びせまくってくれるものと信じている。

 

10.LCD SoundsystemLCDサウンドシステム)

  LCDサウンドシステムはアメリカ・ニューヨークに活動の拠点を置く、ディスコ・パンク・バンド。主要メンバー(ヴォーカル・ギター)のジェームス・マーフィーはこのバンドの所属先でもあるDFAレコーズの設立者でもある。

 私が今回のフジロックでもっとも期待しているアーティスト。バンド形式ながらダンス的な要素が強く、エモーショナルに踊れるバンド。それでいてどこか、無機質でクールな部分をあわせ持つ。

 

 

フジロック2017 土曜日のまとめ

  そんなわけで2日目土曜日はここまで。

 タイムテーブルを確認する限りは明らかに見たいバンドが重複しています。

 もともとそんなに好きじゃなかったエイフェックス・ツインなんですが、音源を聞き直したり、ライヴの動画を見ると圧倒されてやっぱり見たいと思いなおしました。

けれど、小沢健二LCDサウンドシステムは絶対外したくない、などひたすら悩んでおります。

 またデス・グリップスのライヴはなんだか不穏な感じがして若干引き気味です。

 さてさて、どうなることでしょうか。

 3日目に続きます。

 

 

フジロック2017 1日目 私の見たいアーティスト/バンド

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フジロック2017

 ここ数年、フジロックに関しては見たいアーティストの動画をペタペタと貼っていくだけの更新を続けいていますが、今年もせっかくなので同じ感じで進めていきたいと思います。 

 もちろん私自身にはたいした知識もなく、グリーン・ステージ、ホワイト・ステージ、レッド・マーキーの3つの主要ステージだけで事足りてしまうようなメモですがよろしくお願いします。

 フジロック2017全体としては個人的にはLCD SoundsystemLCDサウンドシステム)、Death Grips(デス・グリップス)、小沢健二Corneliusコーネリアス)の登場する2日目土曜日に強く期待をしていますが、金曜日も並べてみると来日回数が少ないアーティストがけっこういて、かなり楽しみです。

  

1.Rag'n'Bone Man(ラグーン・ボーンマン)

 ラグ・アンド・ボーン・マンはイギリス・アックスフィールド出身のシンガー・ソング・ライター、もしくはソウル・シンガー。 

 2メートル近い(196cm)巨漢で、2017年にデビューアルバム「Human」を出したばかりの新人アーティスト。新人とはいえ1985年1月生まれということは2017年7月現在32歳になる。

 その巨漢にたがわぬパワフルでソウルフルな歌声。大物感があふれる存在。

 タイムテーブル的にはグリーンステージの13:20と少し早めの時間帯。

 私は7月に入ってからもっとも聴いているアーティストがラグ・アンド・ボーン・マンなのでかなり期待している。

 

2.Big Willie's Burlesque(ビッグ・ウィリーズ・バーレスク

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 ビッグ・ウィリーズ・バーレスクはドラマーWillie McNeil(ウィリー・マクニール)率いるバーレスク ・バンド。

 冒頭、グリーン・ステージ、レッド・マーキー、ホワイト・ステージで事足りると書いたがフジロックの華にして重要閲覧ポイント、カフェ・ド・パリを忘れてはいけない。そして、そのカフェ・ド・パリでもっとも注目するべきはこの人達。

 狭いカフェ・ド・パリのステージを喜劇的で滑稽な笑いとキャバレー的なセクシーさと踊りと音楽で魅了するバンド。それがビッグ・ウィリーズ・バーレスク

 フジロックのカフェ・ド・パリの番人的な立ち位置となっているため、このバンドをご覧になった方も多いはず。

 フィールド・オブ・ヘヴンから向こう、具体的にはオレンジ・カフェ、ストーン・サークル、バスカーストップ、カフェ・ド・パリの辺りは奥地とも呼ばれメインとなるグリーン・ステージやオアシス・エリアからは移動に30分近くかかる。この付近に一度だけ訪れたいと考えるならばビッグ・ウィリーズ・バーレスクの時間帯に合わせることを個人的にはおすすめしたい。

 

3.EDEN(エデン)

 エデンはアイルランド・ダブリンを中心に活動するシンガー・ソング・ライター兼プロデューサー。2017年7月現在21歳と若く才気溢れている。

 ギターで奏でるEDMとでも言うべきか。音源を聴いた感触と、動画を見た感触は個人的にはかなり異なっている。音源を最初に聴いたときにはエレクトロニカのようであり、繊細な音作りにも思えたが、動画を見た印象はむしろエレクトロ・ポップ・スターのような佇まいで、総合的な感想としては少し音楽的な志向は異なるけれど新しいJames Blake(ジェイムス・ブレイク)だと感じた。

 もちろんステージはレッド・マーキー。若く驚くべき才能がフジロックに登場する瞬間だと考えている。

 

4.RADWIMPS(ラッドウインプス)

  ラッドウィンプスは日本の4人組ロック・バンド。

2016年に新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」で劇中音楽を担当。ご存知「前前前世」の大ヒットで国民的人気バンドの地位を確定させる。

 このバンドには少し思い出があって、私の前のブログもしくは前の前のブログのどちらかの時にコメント欄でこのバンドのファンの方にラッドウィンプスは最高だから聴いてください、と言われたことがある。それがおそらく10年くらい前の出来事。ラッドウィンプスのボーカル・ギターの野田洋次郎は現在32歳とのことなので20歳前後の頃からの人気者ということになる。

 ステージは人気者にふさわしく一番大きいグリーンステージ。

5.Father John Misty(ファーザー・ジョン・ミスティ)

  ファーザー・ジョン・ミスティはアメリカ・ロックビル出身のシンガー・ソング・ライターのジョシュ・ティルマンのソロ・プロジェクト。

 ジョシュ・ティルマンはかつては(J・ティルマン名義で)活動をしていたが、ソロ活動をいったん取りやめFleet Foxes(フリート・フォクシーズ)にドラマーとして加入。その後脱退。2012年から新たにソロ・プロジェクトととしてファーザー・ジョン・ミスティを立ち上げる。

 下の動画はファーザー・ジョン・ミスティは今年リリースされた新譜「Pure Comedy」のM1「Total Entertainment Forever」のMV。マーコーレー・カルキンがカート・コバーンを演じている。

 

6.スチャダラパー

 スチャダラパーは日本のヒップ・ホップ・グループ。

 スチャダラの盟友・小沢健二タモリが司会をする音楽番組ミュージックステーションで公式アナウンスより先にフジロック17への出演を勝手に発表した段階からスチャダラパーフジロックへの参加は運命づけられていた。

 「今夜はブギー・バック 」がセットリストに入っているかどうかは分からないけれど、おそらく夏フェスでの彼らの定番曲「サマージャム'95」は、サマージャム2017なんつって必ず直球なタイトルつけちゃってね、確実に披露されるはずだ。

   

7.Catfish And The Bottlemen(キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン)

 キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンはイギリス・ウェールズで結成されたギター・ロック・バンド。 UKの王道インディーロックバンドのような強くくっきりとしたメロディを持つ。

 ちなみにキャットフィッシュとはアメリカナマズのこと。補足しておくとバンド名はヴォーカルのヴァンが子供時代にシドニーで見た大道芸人の名前をもじって拝借したとのこと。

 2015年のフジロック3日目に登場予定だったがメンバーの体調不良のためあっさりキャンセル。旬と思われたUKロック・バンドがこういった形で来日の機会を逃す場合、その後行方不明になる確率が大変高いが、彼らはなんとかここまでサヴァイヴ。

 

8.The xx(ザ・エックス・エックス)

 The xxはイギリス・ロンドン出身のドリーム・ポップ・バンド。

 楽器の編成的にはギター、ベース、キーボードの3人編成で、女性/男性のツインヴォーカル。私が2010年レッド・マーキーでライブを目撃した時には、「Crystalised」の演奏の際、隣の外国人はでかい声でこの曲のイントロを口ずさんでいた。また同じく「Crystalised」という曲には、「ハイアイアイアー」と掛け合う部分があり、こう書けば言葉の上では純然たるロック・バンドのようでもありパンク・ロックのようにすら思えるが、実際にはドリーム・ポップというカテゴライズがしっくりくる佇まいで、雰囲気がある。フジロックとしても三回目の登場で、それぞれレッド・マーキー、ホワイト・ステージそして今回のグリーン・ステージと着実にステップアップしている。

 各国の主要フェスでもだんだん大きなステージで重要なポジションをまかされつつあり、Sigur Rósシガー・ロス)やBjörkビョーク)のようにヘッドライナーを任されてもおかしくない大物感がある。

 バンドと音楽の特性上、暗くなってからの時間帯もしくは室内向きのバンドで、そういった意味では、19:20からの登場はThe xxの雰囲気にぴったりとくる。

 ことし2017年に3枚目となるアルバム「I See You」をリリースしたため、セットリスト的にはこの新譜が中心の楽曲になると思われる。

 

9.Rhye(ライ)

 ライはマイク・ミロシュとロビン・ハンニバルによるソウル・デュオ。

 彼らのデビュー・アルバムが発表されたのは2013年のことだ。その2013年に彼らはフジロックに登場している。2013年のフジロックに関しては私はひとつの後悔がある。そのことはこのブログに書いた。内容としてはライのライブを見逃したことだ。(→link)

 ライのヴォーカル(マイク・ミロシュ)は音源だけを聴くとある種シャーデーのような気だるい女性ヴォーカルを想起させる。しかし実際のヴォーカルは男性だ。いや注目するべき点はそこではない。アルバム音源と実際の演奏が異なる点は動画を見ていただければわかるが、デュオと書いたがジャムバンドのような編成で、演奏に長けているメンバーが揃っているということになる。

 2013年のライについて最高だったという感想のツイートを私は自身のタイムラインでいくつか見たが、多分そのとおりだったんだと思う。

 

10.Sampha(サンファ)

 サンファはイギリス・ロンドン出身のR&Bシンガーもしくはシンガー・ソング・ライター。 

 サンファは今年(2017年)初のフルアルバム「Process」をリリースしている。とは言え、日本の夏フェスつまりフジロックサマソニには過去にSBTRKT(サブトラクト)のヴォーカリストとして合計3度ほど参加しており、知った顔ということになる。

 ただしここ数年で、Solange(ソランジュ)、Kanye West(カニエ・ウエスト)、Frank Ocean(フランク・オーシャン)らと共演し、その存在感を強めている。

 サブトラクトとの関わりからダブステップ/エレクトロニカ/ダンスとの関わりが強くミステリアスな印象が強く、また、ラップありのブラックミュージックを想像しがちだが(少なくとも私はそうだ)、今回リリースされたアルバムを聴く限りでは、ゆったりとしたピアノ演奏が似合う大人のコンテンポラリーなR&Bの成分が強いと感じる。

 とはいえ実際には、全編そんな内容のアルバムかというとそんなこともなく、サブトラクト的な雰囲気は多分にあるのだが、サブトラクト時代には私がかなり鈍感で気がつかなかったこととして、サンファは「声」が独特で印象的だ。今回のデビューアルバムで言えば「Plastic 100°C」が印象に強い。そのためか、イメージとまったく違う雰囲気を私が掴んでいるだけなのかもしれない。サンファはひたすらに私にとって、とらえどころのないアーティストだ。

 

11.Queens Of The Stone Ageクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ

  クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジはアメリカ・カルフォルニア出身のハード・ロック/オルタナティヴ・ギター/ヘヴィ・ロック・バンド。

 ダークでハードでヘヴィでアグレッシヴなギターリフを決めるバンド。

 クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジと言えば夏フェス来日キャンセルの代名詞でもある。過去にフジロックサマーソニックでは2005年、2008年、2011年の合計3回の出演発表後のキャンセルの実績がある。

 ただしヴォーカル・ギターのジョシュ・オムは2010年に元Led Zeppelinレッド・ツェッペリン)のジョン・ポール・ジョーンズがベースを弾き、Foo Fightersフー・ファイターズ)のデイヴ・グロールがドラムを叩くバンドThem Crooked Vultures(ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ)のフロントマンとして、フジロックのグリーンステージに登場している。またクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ自体も2002年のフジロックで演奏を行っている。

 今回のフジロックへの来日が果たされるかどうかが大変興味深いところでもある。

  そして何より夜の暗に包まれたホワイトステージをヘヴィなリフで切り裂くことを期待している。

12.Gorillazゴリラズ

 ゴリラズは1998年にイギリスでデーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットらにより結成されたオルタナティヴ・ロック/ ヒップホップ/エレクトロ/トリップ・ホップ/覆面バンド。

 もちろんフジロック2017金曜日の最大の目玉のアーティストである。

 ゴリラズそのもの活動としては今年リリースされた新譜「Humanz」で5枚目のアルバムということになる。

 ゴリラズ結成当初はアニメーションがによる演出が中心で、ライヴの際にはデーモンも白い幕の後ろに引っ込んで姿を表さないスタイルだったが、ある時期から演奏をするバンドメンバーそのものがスポットライトを浴びる形で登場するようになった。

 今回のアルバム「Humanz」ではデーモン・アルバーンがヴォーカルをとる曲は「Busted and Blue」ただ一曲で他の曲はすべて客演アーティストがボーカルをとっている。

 ゴリラズはアルバムの形式としてたくさんの客演アーティストが参加しているが、これをアニメーションなしでどのように対応しているのか気になったが、大規模なグラストンベリーのようなイギリス本国でおこなわれるフェス以外のライヴではスクリーンに大写しで、客演アーティストが映し出されることが多いようだ。

 

フジロック2017 金曜日まとめ

 フジロック1日目の注目アーティストはやはりゴリラズ。おそらく客演アーティストはほぼ登場しない形と想像されるけれど、それでも華やかであろうステージに注目です。

 また、ファーザー・ジョン・ミスティ、エデン、ラグ・アンド・ボーン・マンの3アーティストにも期待したいです。

 実力は折り紙付きながら来日そのものに不安のあるクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジにも期待したいですね。

 ライとThe xxはライブに定評があると思うので私は絶対に見たいと考えていますが、他との兼ね合い上どうなることでしょうか。

 

 2日目と3日目はそのうち書きます。

 まずはフジロック2017 1日目見たいアーティスト/バンドリストでした。

 

 フジロック2017 2日目はこちら(→link)

 

 

 

 

将棋めし 1巻/松本渚

最近、飯を食う漫画と将棋がブームとなっている。 

 
 

将棋の話

 2017年の夏、藤井聡太四段の登場により、何度目かの将棋ブームが到来した。過去に将棋ブームとよばれているものは何度かあったが、今回のブームは羽生善治名人が七冠王となった1995年から1996年頃の将棋ブームと比較されることが多い。

 そして私がこの文章を書いている2017年7月2日ついに藤井聡太四段(14歳・中学3年生)はデビュー以来初の敗北を喫し、将棋界としての公式戦最多連勝記録を「29」でストップさせた。

 その敗北はNHKでもニュース速報が流れるほどの話題性となった。

 藤井聡太四段の連勝はここにいたるまで速報レベルで取り上げられ、彼の一挙手一投足つまり行動のすべて、そして彼の発する言葉までもが全国的なニュースとなっていた。

食う漫画の話

 将棋の話はいったん置くとして、最近食う漫画が増えている。食をテーマにした漫画は今までもたくさんあったけれど、それはどちらかと言えば作ることに重点をおいた漫画が多かったように思う。

 以前は作り手として料理人と料理人がお互いの腕前とプライドをかけて争う、そんな漫画が多かった、言ってしまえば要は食の皮をかぶったバトルマンガだ。例えば「料理の鉄人」は、そんな漫画的発想、バトル漫画的発想から生み出されたテレビ番組だったと私は思っている。

 けれど、最近はどちらかと言えば食うことに話の力点をおいた漫画が増えている気がする。主人公はただひたすら食う。ひたすら食う。そしてその主人公はリアクション芸人のように、いろいろな手法をもってその味わいを伝える。

 食う漫画はだいたいにおいて深いストーリーはない。日常の延長線上において疲れた体を癒やすために飯を食う。それは、日々のストレスであったり、逆に嬉しい思い出であったり、至福の瞬間であったり、若干のウンチクであったりと何かしらを肴に食う。時と場合によっては呑む。食う漫画にそれ以上をもとめてはいけない。

 いや前にも紹介した(→link)「目玉焼きの黄身 いつつぶす?」のように食う漫画でありつつも魂と魂がぶつかりあう、生き方を問う漫画ももちろん存在する。

 

僥倖

 連勝を20に伸ばしたとき藤井聡太四段は「僥倖」という言葉を口にした。

 この僥倖という言葉に皆さんはどんなイメージを持つだろうか。

 私は僥倖という言葉から青田昇さんというすでに亡くなってしまった年配の野球解説者の方を思いだす。青田昇さんは野球解説者でありながら、激しい巨人びいきで巨人以外のことはあまり興味がなく、話題の8割が巨人の話だったように思う。パ・リーグの選手にいたっては、ほとんど選手の名前すら覚えることがないような方だった。けれど、この方は難しい言葉をたくさん知っており、また切り口が鋭く、野球そのものを熟知していて(パ・リーグの選手はあまりご存知なかったようではあるけれど)、ある種ご意見番のような存在だった。

 そんな青田昇さんはスポーツニュースの中で「この勝利は僥倖だよ、ダンカン」と語り、僥倖の意味について丁寧に解説をしていた。僥倖という言葉は何度か登場していたので、その時に私も覚えた。難しい言葉を使うけれど、分かりやすく自分の考えていることを、野球というものを伝える方だった。極端な方ではあったけれど、私は青田昇さんの野球観が好きだった。

 

 そんな理由からか、私は「僥倖」という言葉から故・青田昇氏を思い出す。

 けれど、インターネットの世界では「僥倖」で、故・青田昇氏を思い浮かべる人は少数派であり、「僥倖」といえば、おそらくはあのギャンブル漫画の主人公カイジを思い浮かべる人が多数派ではないだろうか、と思う。

 

「僥倖、なんという僥倖っ…!」

 カイジが口にする独特の言いまわしも含めて、脳みその片隅に強く、強くへばりついている方が多いはずだ。

 

 ところで「カイジ」は作者の福本伸行の手を離れ、いくつかのスピンオフを生んでいる。「中間管理録トネガワ」と「1日外出録ハンチョウ」がそれにあたる。

中間管理録トネガワ」にいたっては「このマンガがすごい2017」において1位を獲得している。この漫画はカイジの中に登場する印象的なフレーズ、例えば「悪魔的発想」だの、「圧倒的xx」だのを、頻出させることによりカイジの持つ雰囲気を強く醸し出している。中間管理職のマネジメントの、人材管理の漫画として、面白く、コミカルに描かれていて秀逸な作品だ。けれど、そのカイジの必殺フレーズの頻出度合いの高さによって、私には何か、カイジの悪しき拡大再生産のような、ネット上にあふれる粗悪なパロディ作品のような気がして、そこまでこの作品を好きだとは言い切れない。

 一方「1日外出録ハンチョウ」はあの帝愛グループの地下労働施設で、E班班長を務める大槻を主人公とした食う漫画である。大槻が普段の不自由から外れ、自由をいろいろな形で満喫する一風変わったグルメ漫画ということになる。こちらはどちらかと言えば私は非常に好きな作品ということになる。

 実は「中間管理録トネガワ」にも食うシーンが何度か登場する。不思議なことにトネガワの中の食う回は私はとても好きだ。そういった意味で私は食う漫画に心を強く惹かれているだけかもしれない。

  

中間管理録トネガワ(→ link) 

1日外出録ハンチョウ(→ link) 

 

 

もう一度将棋の話

 何度目家の将棋ブームと書いた。ワイドショーでも、連日、大きく藤井聡太四段を取り上げている。 

とはいえ、藤井聡太四段がどんな打ち筋を好むとか、どんな戦法や囲いを使うとかそんな話題はいっさい出ることなく、テレビのお茶の間的な、ワイドショー的な話題の中心は、彼の食事についてだ。

 

 もともとプロ棋士のお昼ごはんやおやつ、そして夕食については将棋ファンの間では話題になりやすいテーマであり、ファンの間では楽しみのひとつでもある。

 例えば羽生善治名人の「天ざるそば 天ぷら抜き」はあまりにも有名で、先ごろ引退した「昼もうな重、夜もうな重」の加藤一二三九段が「カキフライ定食とチキンカツ定食」を一度に注文したエピソードはすでに伝説の域に達している。

 

 藤井聡太四段の連勝は加藤一二三九段との対戦から始まったわけだが、この対局ではお昼ごはんに「みろく庵」の「味噌煮込みうどん」を注文している。

 東京での対局の場合、将棋会館近くの「みろく庵」「うなぎ ふじもと」「千寿司」「そば ほそ島や」の四つが、棋士の出前を取る店として有名だ。

 実は日本将棋連盟のウェブページはこのあたりの情報が充実している。

 

タケナカミカが突撃!将棋会館近くのおすすめグルメスポット7選【前編】|将棋コラム|日本将棋連盟

 

みろく庵では○○トッピングがブーム!?将棋会館近くのおすすめグルメスポット7選【後編】|将棋コラム|日本将棋連盟

 

将棋めしの話

 さて、本題である「将棋めし」という漫画について語りたい。

 その題名の通り将棋とめしに関する漫画となる。

 「将棋めし」の主人公・峠なゆた六段は若い女性のプロ棋士となり、女流棋士ではない。

 

 女流棋士とプロ棋士の違いとは何か。

 女性への将棋の普及の意図をもって作られた存在が女流棋士だ。女性でも奨励会に入り、三段リーグを勝ち上がればプロ棋士となれる。けれども、現在の将棋界には女性棋士は一人もいない。そういった意味ではこの漫画はファンタジーだ。

 けれど、この漫画に書かれている将棋とめしのエピソードは、現実の将棋から近い場所にあるように思う。

 作中でも「みろく庵」や「うなぎ ふじもと」、「ほそ島や」が登場し、棋士がどのタイミングでお昼のメニューを決断し、どのようにお金を払うのかが描かれている。

 もちろん将棋ファンの間ではニコニコ動画の中継などで、その様子を見ていて知っているため有名なことではあるかもしれない。

 

「将棋めし」に登場する棋士たちはお昼時、もしくは夕食時に食事、もしくはおやつを盤外戦としてを戦っている。いや、全員がそういうわけではないが、食事という重要な部分を戦いの一部としてとらえている。けれど、それは、強度のある争いとしては描かれていない。

 過去の有名騎士たちのエピソードのオマージュをくわえつつ、この物語は作られている。この漫画には今のところびっくりするような大きなうねりはない。おそらくは今後もそんなものはない。どちらかといえば将棋とプロ棋士について少しだけ知った入り口に立った新たなる将棋ファン向けの、ちょっとしたウンチクに役立つ物語だと思う。そいうった意味ではこの漫画は、食う漫画の延長線上にある。

  

鰻の話

 加藤一二三九段の影響か、この「将棋めし」には鰻が何度か登場する。

 この鰻が大変、美味そうだ。

 過去にモーニングという漫画雑誌で、ラズウェル細木が主人公の若旦那がひたすら鰻を食うだけの物語を連載していた。とても愉快な漫画ではあったけれど、あの漫画を読んで、鰻がうまそうだと思ったことは実は一度もない。

 けれど、「将棋めし」に登場する鰻は大変うまそうだ。

 私はそんなことを考えながらこの漫画を読んでいる。

 

 

 う (→link)

 

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