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私が名盤と思うライブ盤13選

趣旨説明

 私はライブ盤が大好きだ。ライブ盤を聴かずにはいられない。

 自分の好きな全アーティストにライブ盤を出してほしいと思っている。

 そんな私が名盤と思うライブ盤を、洋楽とか邦楽とかそんな枠組みにとらわれることなく好き勝手に紹介したいと考え13枚選んだ。順番と枚数に特に意味はない。ランキングとかでもない。「必聴」とか「おすすめ」とか言うつもりもない。選んだ基準は「私」が「名盤」と思った。それだけ。この熱い気持ちをどこかに吐き出したかった。

 まずは13選としたが、気が向けば随時追加していきたい。 

HAARP/Muse(ミューズ)

 

 2008年に発売されたUKロックバンド・ミューズのライブアルバム「HAARP」。2007年のイギリス本国ウェンブリー・スタジアムでのライブを収録した内容となっている。

 ミューズの1stアルバム「Showbiz」から4thアルバム「Black Holes and Revelations」までの楽曲が演奏されている。イントロから「Knights of Cydonia」へと繋がり、コーラス、歓声、ギター、合唱という怒涛のオープニングで幕を開ける。「Supermassive Black Hole」「Map of the Problematique」「Butterflies and Hurricanes」「Starlight」と次々とミューズの楽曲たちが刻まれていく。

 とにかく熱量がすごい、ライヴ盤のお手本ともいうべき凝縮された内容。

 初期のミューズのベスト盤の代わりとして聴くにも最適だが、唯一冒頭のギターによるイントロが印象的な曲「Plug In Baby」がCD盤には収録されていないことのみ残念だ。

Celebration Day/Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)

 

 2007年12月10日でロンドンで一つの出来事があった。それは音楽評論家渋谷陽一が、私が、そしてもちろんすべてのロック・ファンが愛してやまないイギリスの伝説的ヘヴィ・ロック・バンドのレッド・ツェッペリンがそのドラマージョン・ボーナムの死後、はじめての一夜限りの再結成ライブをおこなった。

 その時の様子を収録したライブ盤が「Celebration Day」である。

 バンドメンバーはもちろんジミー・ペイジロバート・プラントジョン・ポール・ジョーンズに加えジェイソン・ボーナム(ジョン・ボーナムJr.)の4人。

 このライブ盤の発売そのものは2012年になってからのことで、音源を聴いた時、正直な話、私は震えた。これが還暦を過ぎた男たちの音なのかと。全盛期のレッド・ツェッペリンはどれだけのモノだったのかと。

 もちろんレッド・ツェッペリンのキャリアを考えると名曲が多すぎて、その演奏された曲については好みがあるのは間違いない話だが、「Good Times Bad Times 」から始まって、「Rock And Roll 」も「Black Dog 」も「Whole Lotta Love 」も「Dazed And Confused 」も「Stairway To Heaven」も「Kashmir」もあるんだから、それで満足せえよ、というのが私の感想。

 個人的なハイライトはやはりなんと言っても「Trampled Under Foot 」全部。そしてこの曲が終わったあとの「Nobody's Fault But Mine 」の導入部。これ以上を求めると渋谷陽一が素晴らしさのあまりショック死するので許すべきだ。人類はレッド・ツェッペリンに求めすぎてはいけない。

 

Hendrix In The West/Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス

 

 ジミ・ヘンドリックスのライブアルバムは気がつけばたくさん発売されていた。けれど、私が高校生ぐらいのときに読み漁ったロック名盤辞典みたいなムック本に掲載されていたジミヘンのライブ盤「ヘンドリックス・イン・ザ・ウェスト」にはしばらくお目にかかることができなかった。ビートルズのカバー曲である「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」やマイケル・J・フォックスも演奏した「Johnny B. Goode」、ガンズ&ローゼズのライブ盤を聴くと曲と曲の間にスラッシュがリフを奏でている「Voodoo Child 」などとにかくこのアルバムには私の聴きたい曲がつまっていた。若干の時を経て版権の問題でアナログレコード時代に発表された体裁とは異なる収録曲でCD盤として再発されたものがこのアルバムとなる。

 「ヘンドリックス・イン・ザ・ウェスト」はジミ・ヘンドリックスが演奏をしたいくつかのライブを編集でつなぎ合わせただけの内容となってはいるが、その60年代末のむさ苦しいまでの熱量が世紀を超えて伝わってくるようにも私は感じる。 

 

All The People - Live At Hyde Park 03 July/Blur(ブラー)

 

 愛すべき大英帝国の優等生、それがUKロックバンド・ブラーの印象だ。そのブラーもギタリスト・グレアム・コクソンの離脱によるバンドが崩壊。

 けれど2009年ブラーは再結成を果たした。その時のハイド・パークでの最初のライブの模様をCD化。

 この再結成のタイミングにあわせてブラーはアルバムを出すことをしていないので、演奏曲はベスト盤的な内容となっている。

 ブラーはそもそもライブバンドだったのか?という純粋な疑問もあったが、このライブ盤では、オーディエンスの盛り上がり、歓声、コーラス、演奏力、デーモン・アルバーンの煽り、すべてに有効で全盛期そのままのブラーを聴くことが出来る。

 実はブラーはこのあと2012年に「Parklive 」というライブ盤もだしており、こちらは開幕「Girls & Boys」をかますなど、さらなる進化を見せているが、それはまた別の話だ。

 全25曲2枚組という熱い内容で、ラスト2曲は「For Tomorrow」から「The Universal」へと繋がる鉄板の展開。

 

Live At The Budokan/Blur(ブラー)

 

 掟破りのブラーのライブ盤2枚目の紹介である。

 ブラーは他にも「Parklive 」という良いライブ盤を残しているがそちらは紹介せずにブリット・ポップ期に出した4thアルバム「The Great Escape,」直後のツアー、つまり1995年のライブ、しかも東京・武道館公演の模様を音源化したものを取り上げる。

 このアルバムというかライブ盤を聴くと当時のブラーが日本でいかにアイドルだったのかがわかる。先に紹介した「All The People - Live At Hyde Park 03 July」とはまったくもって客層が異なる。「Girls & Boys」ではデーモン・アルバーンも「カラOK」と叫びマイクを(おそらく)客席に向ける。誰も歌う素振りを見せないが、途中、一人のスチューピットな若い(であろう)女性の歌というか叫び声が聴こえる。

 ところでこのライヴ・アット・ザ・武道館も「All The People - Live At Hyde Park 03 July」と同様に25曲が黄色い歓声とともに収録されている。

 

Everything Everything/Underworld(アンダーワールド)

  
 「Everything Everything」は1998年から1999年にかけてアンダーワールドがおこなったライブを元に編集された内容が1枚のライブ盤として2000年に発売されている。

 私はイギリス・エレクトロニカ/ダンスの雄アンダーワールドが大好きだ。

 そのすべてのアルバムの中でもっとも好きなアルバムが「Everything Everything」になる。下で紹介している電気グルーヴの「イルボン2000」と並んで私が人生の中でもっとも聴いたアルバムになると思われる。

 クレイジー・クレイジー・クレイジーと延々と連呼する「Pearl's Girl」はパラシュート隊が急降下してくるかのようにテンションが上がるし、「Jumbo」に感じるのは圧倒的なまでのチルアウトだ。「Shudder/King Of Shake」はなんだか8時だよ全員集合の撤収シーンを想起させるし、「Born Slippy Nuxx」は言うまでもなく鉄板だ。

 けれどハイライトはそこではない。いやそんなことは私に言われるまでもない。誰でもわかっている話だ。

 もちろんハイライトシーンは最後に控えている「Rez/Cowgirl」だ。

 私は90年代最高の名曲はアンダーワールドの「Rez」と思っているけれど、この曲の終盤「Cowgirl」のEverything,Everything,Everything,Everything,Everythingのフレーズが飛び込んでくる。はっきりとわかりやすく、テンションがあがる。

 もうこの瞬間を聴くためだけにこのアルバムを聴く価値がある。ライブ盤としては名盤中の名盤。

 

 

Alive 1997/Daft Punk(ダフト・パンク)

 

 ブラーの時にも2枚紹介したが、ダフト・パンクも2枚紹介したい。これはある意味、対になっているライブ盤だ。どちらかを紹介して、どちらかを紹介しないのは違う気がするので両方紹介する。

 ダフト・パンク1枚目のライブ盤は「Alive 1997」。文字通り1997年をパッケージ化したものだ。ただし発売は2001年になってからということになる。

 この「Alive 1997」はディスク1枚に1トラックのみ収録という驚くべき手法を取っている。もちろん1曲のみが入っているわけではなく、導入部もかなり雑な感じで、ある種生々しい。1997年におこなわれたライブということもあり、当時は彼らのデビューアルバム「Homework」のみからの選曲だ。とはいえダフト・パンクの1stは90年代を代表する名盤といって差し支えなく、逆に言えば余計なものが一切削ぎ落とされたとんでもないライブ盤とさえ言える。

 曲は1トラックに収録されているものの「Da Funk」「Rollin' & Scratchin'」「Revolution 909」「Alive」がセットリストにはいっており、「Rollin' & Scratchin'」では機材から悲鳴が上がっているかのようでテンションは上がるし、Alive 1997とのアルバム名にふさわしいまでの「Alive」の出来栄えだ。

 

Alive 2007/Daft Punk(ダフト・パンク)

 

 ダフト・パンク2枚目は「Alive 2007」。10年の間にダフト・パンクはさらに2枚のアルバムを出し、2007年フランスで行われたライブから編集されたものがこのアルバムとなる。

  日本へは2006年にサマソニで来日し、過去のユニットと思われていた彼らだが、その存在感をアピール。翌年(2007年)にもこのアルバムと同内容にて再度来日公演をおこなった。

 前回の「alive 1997」がライブ盤特有の荒削りさを出したもので、この「Alive 2007」ではユニットは熟成され、、、などと言えば美しいが、そんなことはない。ダフト・パンクの持つ荒々しさは基本的に何も変わっていない。曲としては過去の楽曲を精力的にマッシュアップし、むしろ凶暴性が増している。

 10曲目「Prime Time Of Your Life / Brainwasher / Rollin' And Scratchin' / Alive」から11曲目「Da Funk / Daftendirekt」が今作のハイライト。

The 30th Anniversary Concert Celebration/Bob Dylan(ボブ・ディラン)

 

 1992年にニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデンにてボブ・ディランのデビュー30.周年を記念して多数のミュージシャン・アーティストが参加してコンサートが行われた。「The 30th Anniversary Concert Celebration」はその模様を収録したトリビュート・アルバムとなる。

 参加メンバーは大変豪華でStevie Wonderスティーヴィー・ワンダー)、Lou Reedルー・リード)、John Mellencamp(ジョン・メレンキャンプ)などが参加しているが、やはりこのライブ盤の最大の聞き所は、ボブ・ディラン本人、Roger McGuinn(ロジャー・マッギン)、Tom Pettyトム・ペティ)、Neil Youngニール・ヤング)、Eric Claptonエリック・クラプトン)、George Harrisonジョージ・ハリスン)の競演による「My Back Pages 」。真心ブラザーズのカバーでも有名なこの曲だが、すべてにおいてインパクトが違う。特にエリック・クラプトンニール・ヤングのギターは圧巻。

 またこのライブではSinead O'Connor(シネイド・オコナー)が観客から大きなブーイングを浴びたため、当初とは異なる曲目をアカペラで歌うというハプニングも起きたが、残念ながらその模様は収録されていない。※シネイド・オコナーはリハーサルの時の本来歌う予定だった曲が収録されている。

Mtv Unplugged/Bob Dylan(ボブ・ディラン)

 

 ボブ・ディランからはもう一枚。1994年のスタジオライブの模様を収録し1995年にリリースされた「MTV Unplugged

 ボブ・ディランのライブ盤と言えばこのアルバムではなく、曲と曲の間に、フォークファンだった聴衆の一人から「ユーダー(裏切り者)」と叫ばれ、ボブ・ディランが「I don't believe you.」「You're a liar.」と返した後に「Like a Rolling Stone」を演奏する歴史的名盤というよりはロックの事件そのものを収録した「Live 1966 "The Royal Albert Hall Concert"」というとんでもない代物があるが、今回はそれは取り上げない。

 ボブ・ディランは未だ現役のアーティストだ。現在でも新たなるアルバムを数年に1枚出す。ツアーをおこなっても過去のヒット曲をベスト盤的に演奏したりしない。が、ボブ・ディランの楽曲のうちオーディエンスがもっとも聴きたいのは、やはり60年代の曲だ。その60年代の曲を90年代に演奏された内容がこの「MTV Unplugged」となる。ボブ・ディランは多くのアーティスト・ミュージシャンたちによって楽曲をカバーされている。オリジナルよりもカバー曲の方が優れているということは、実はボブ・ディランにおいてはよくあることだ。

 けれど不思議なことに、この「MTV Unplugged」ではボブ・ディランの演奏は過去のものよりも洗練されている。その意味においてこの「MTV Unplugged」は過去のベスト盤を聴くよりも味わい深い。曲によっては(特に「All Along The Watchtower」あたりは)何を唄っているのかさっぱりわからいないことはご愛嬌だ。

The Long Goodbye/LCD Soundsystem(LCDサウンドシステム)

  私はLCDサウンドシステムのことを00年代以降の最強のライブ・バンドと捉えている。彼らのライブ以上にアガるライブを経験したことがない。
 
  2011年4月のニュー・ヨーク・マジソン・スクエア・ガーデンのライブをもってLCDサウンドシステムはいったん活動を停止している。この時の模様はYoutubeなどの動画でも配信をされた。私もこの模様を見ていた。
 その後LCDサウンドシステムは活動を再開することになるが、しばしのお別れとのことでこのライブ盤がリリースされている。ただしCD盤の発売はなく、アナログ・レコードもしくはデジタル・ダウンロード販売のみとなっている。
 ライブそのものは長丁場で全28曲、8分長の曲が8曲も入っている。もともとアルバム・アーティストというわけでもない彼らだが、最後ということでやりたい放題やった内容がすべて収録されている。

 

イルボン2000/電気グルーヴ

  2000年砂原良徳が脱退後、石野卓球ピエール瀧の二人組になり「VOXXX」発表直後のツアーを素材に編集したライヴ・リミックス・アルバム。
 アンダーワールドのところでも書いたが彼らの「Everything Everything」と並んで、私が人生の中でもっとも聴いたアルバム。
 「コンニチワ、電気グルーヴデス」のボイスから観客の「オイオイ」で幕を開ける「ハロー! ミスターモンキーマジックオーケストラ」、「フラッシュバック ディスコ」からの「フラッシュバックJ-POPカウントダウン」そして「シャングリラ」と冒頭の流れは美しい。
 後半の「虹」ではロボットボイスがスタジオ盤の五島良子の歌声以上に感動的に聴こえる。機械音だから感動できないという評論家まがいの輩がいるならイルボン2000収録の「虹」を百回聴かせるべし。
 

the TEARS OF a CLOWN/RCサクセション

 

 RCサクセションの1986年武道館のライブ盤。

 途中ライブ盤らしく「キヨシロー」の声援が聞こえてくる。

 私が初めて買ったCDでもある。

 このアルバムには「君はそのうち死ぬだろう」という楽曲が収録されている。「君はそのうち死ぬだろう」は過去に忌野清志郎が作った楽曲で、詳しくは忌野清志郎が自分のことを語った「GOTTA(ガッタ)!忌野清志郎」などで語られているが、とにかくこの曲を演奏したところ、初日は武道館がシーンとなったそうだ。あわてて翌日以降はアレンジをかえたとのことだが、収録されているバージョンはおそらく2日目以降のアレンジ変更後のバージョンと思われる。

 私はこのライブ盤収録の「スローバラード」「雨上がりの夜空に」がともに一番好きだ。RCサクセションのうち、この2曲を聴きたいならばこのアルバムを買えば良いと思う。

 

 

最後に

気が向いたら追記します。小沢健二The Smiths(ザ・スミス)、くるりは少なくとも追加したいです。

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