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(What's The Story) Morning Glory?/オアシス

オアシスのアルバムを1枚買うならば

 口の悪いUKロックファンは言う。

 オアシスのベストアルバムを買うくらいならば彼らの1stアルバムと2ndアルバムを買えば良いと。

 それでは1枚だけ買うならばどちらなのか。その回答がこの記事だ。

 本アルバム「モーニング・グローリー」は90年代中頃にクリエイション・レコーズよりリリースされたマンチェスター出身のUKロックバンド・Oasis(オアシス)の2ndアルバムにして、彼らのキャリア最高傑作である。1995年10月リリース。

 

 

マンチェスターの眉毛兄弟

 オアシス。UK・マンチェスター出身の眉毛と暴言が印象的なギャラガー兄弟が中心メンバー。90年代のUKロックブームの立役者。あまりにも有名。ギター・バンド。アンセムメーカー。口の悪い音楽ファンは「オアシスなんて1stと2ndだけを聴けばいいよ」というが、その言葉は真実に近い。

 オアシスはたった2枚のアルバムで90年代以降のロックンロールを代表するビッグな存在となった。このバンドのほとんどすべての曲を作るギタリストであり兄貴のノエル・ギャラガーと、気の利いたパフォーマンスを特にすることはないけれど、ノエルの弟であり腕を後ろに組んで歌うだけで人を惹きつける、魅力にあふれるカリスマ的なボーカリストリアム・ギャラガーの二人を中心メンバーとするバンドがオアシスということになる。他のメンバーは時期により流動的となるが、この「(ワッツ・ザ・ストーリー)モーニング・グローリー?」ではリズム・ギターをボーンヘッド(ポール・アーサーズ)、ベースをギグジー(ポール・マッギーガン)、ドラムをアラン・ホワイト(ただしサム・マイト・セイのみトニー・マッキャロル)がつとめている。

 

 90年代にイギリスでブリット・ポップ・ムーヴメントが発生すると、ワーキングクラス出身であるオアシスと、アートスクール出身で中産階級に人気の高かったblur(ブラー)とは相性が悪く、階級闘争的な意味合いもふくまれつつ、メディアに対立を煽られ、オアシスはブラーはあっという間に一触即発の状態となった。

 その中で本作収録の「Roll With It」とブラーの「Country House」のシングルの発売が1995年8月14日、同日発売となり(正確には意図的にブラーが発売日を意図的に合わせた)、その売上を競うことがNMEなどの音楽メディアの枠組みを大きく超えて、BBCのニュースやタブロイド紙、全国紙などまでに波及しイギリス本国全土で大きな話題となった。

 この売上競争については、ブラー側が 「Country House」のシングルについて2種類のシングルを準備し、カウントとしては1枚に集約されていたいたことや、オアシス側の「Roll With It」にはバーコードの印字ミスがあり、本来の売上がカウントされていなかったなど、いろいろと言われているが、とにかくブラーが勝利し、オアシスは敗れた。

 イギリス本国ではこの熱狂的な前振りがあった上で、オアシスの2ndアルバムは発売された。

 彼らの2ndアルバムは全世界で2000万枚以上、イギリス本国でも400万枚以上の売上を記録することになる。結果的にこれらの売上は同年9月発売のブラーの4thアルバム「The Great Escape」を大きく突き放す。

 もっともこのオアシスとブラーのシングル売上対決はブリット・ポップ・ムーヴメント最終焉期の出来事であったことも付け加えておく。

 ブリット・ポップ・ムーヴメント最後にして最大のアルバムが本作「(ワッツ・ザ・ストーリー)モーニング・グローリー?」ということになる。

名曲と暴言がいっぱい

 この2ndアルバム「(ワッツ・ザ・ストーリー)モーニング・グローリー?」は捨て曲なしのとんでもないアルバムといって間違いない。

 ライブではアンコールの際にノエルが歌う圧倒的アンセム「Don't Look Back in Anger」、リアムが歌う最大のヒット曲「Wonderwall」、イントロのギターが印象的な「Morning Glory」、アルバムの冒頭を飾る「Hello」、ビートルズを思わせる「She's Electric」、みんなも大好き私も大好き「Some Might Say」、The Verve(ザ・ヴァーヴ)のリチャード・アシュクロフトのことを歌ったといわれている「Cast No Shadow」、シングルの売上でブラーと争った「Roll With It」、アルバムの最後を飾るスケールの大きな「Champagne Supernova」、とにかく収録曲すべてが名曲。ええと「Hey Now!」のことは忘れてくれ。

 

 ブラーとの対立を煽られた原因としては、もちろん彼らが労働者階級でありブラーが中産階級に人気が高かったということもある。が、それよりは、おそらく彼らギャラガー兄弟の口の悪さに起因する部分が大きい。結果としてブラーの面々は彼ら眉毛兄弟に巻き込まれただけのように感じる。

 

 ノエルとリアムは競うかのように他のアーティストについて語っていた。基本的にノエル・ギャラガーはその出身が労働者階級かどうかが重要であり、音楽性についての発言は基本的にどうでもいい内容がほとんどだ。

 

 ノエル・ギャラガーザ・ビーチ・ボーイズThe Beach Boys)については、過大評価で、HMVではザ・ビートルズ(The Beatles)の次にCDが置かれていたから売れただけ、と言い放っている。

 

 また、リアム・ギャラガー最大の暴言(名言)といえば個人的にはElastica(エラスティカ)のジャスティーン嬢(元Suede(スウェード)のメンバーで、デーモン・アルバーンと付き合っていたと噂のボーカリスト)について聞かれた時に言い放った「ボンベイ・ロールも迷わずぶちかましてやる」ではないだろうか。

 ※ボンベイ・ロールについてご存知ない方はググっていただければ幸いである。

ノエル・ギャラガーの歌う代表曲

 兄貴のノエル・ギャラガーは魅力という部分では弟のリアム・ギャラガーには勝ち得ていないように感じている。けれど、不思議なことにオアシスの最大級の代表曲「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のボーカルについてはノエル・ギャラガーが取っている。

 オアシスのアルバムの中ではそのうち数曲をノエルが歌うことが常ではあるけれど、ノエルが歌う曲は名曲が多い。

兄弟のソロと再結成

 オアシスは2009年にノエル・ギャラガーの脱退により解散となっている。理由としては取るに足らない兄弟喧嘩で日常茶飯事のことと最初は考えれらていたが、結果としてそのまま解散となった。

 ファンも音楽プレスもどうせすぐに再結成されると考えていたが2018年の11月現在、ほぼ10年経ってもその兆候は見られない。

 ノエル・ギャラガーはNoel Gallagher's High Flying Birds(ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)というバンドを組み、リアム・ギャラガーの方も、ビーディ・アイ (Beady Eye) という名前のバンドを組んだ。ビーディ・アイは兄ノエルのかつてのビーチ・ボーイズはCDショップでビートルズの次に並んでいたから売れただけ発言を補完するかのように、この英米のビッグ・アーティストのCD棚に割り込むためにつけられたような名前を持っている。ビーディ・アイはすでに解散し、リアムはすでにソロ・デビューとなっている。

 リアム・ギャラガーの発言からは、バンドというか兄に未練があり、いつ再結成してもおかしくないような雰囲気を醸し出しているが、残念ながらノエル・ギャラガーの方はそうでもない、というのが現在の状況だ。

  とは言え、兄弟げんかからノエル・ギャラガーの突然の脱退からはじまったオアシスの解散という状況もあり、いつ、突然の再結成があったとしても不思議ではないというが、ファンの偽らざる機敏ではないだろうか。

 

 

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