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Quality Control/ジュラシック・ファイブ

 
ヒップホップがよくわからない。
 
いやそんなことを言い出したら他の音楽だってなんだってよくわからない。シューゲイザーだってわからないし、テクノだってわからないし、オルタナティヴ・ギターだってわからないし、サイケデリックだって、SF小説だって、経営学だって、セイバーメトリクスだって、切手収集だって、イモリとヤモリの見分け方だって、とにかくなんだってよくわからない。言い出したらきりがない。というか私は何もわかっていない。
 
でも違うんだ。ヒップホップのわからなさは私の中では群を抜いている。
 
 ヒップホップってさ、お互いのことをやたらとブラザーだのシスターだの呼び合う連中のヨー、ホー、プッチャヘンザッみたいなコールアンドレスポンスな音楽なわけじゃないか。しかも気がついたら殺し合い。いやこの文章が偏見に満ちあふれていることは認めるけれども、世間的なヒップホップなイメージってそんなんだと。
 
なのに、カット・ケミストだのDJシャドウのヒップホップ系のDJの音楽の難しさといったら。このジャンルの不可解さを無駄に深く、深くしていると思うわけさ。私も仮にも一時期はテクノ馬鹿だったと言うか、今でも石野卓球を神と崇めているし、テクノなトラックは全然聴いていないわけじゃあない、でもさ、根本的に先にあげたアーティスト二人の圧倒的なわからなさはなんなのか。
 
「テクノって何?」って根源的な話はやめよう、ややこしくなるから。でもドンツクドンツク4つ鳴ってりゃテクノじゃないのかと。言ってしまえば。リズムとって踊ってる風にすることはそんなに難しくない。でも、ひるがえって、ヒップホップなDJたちの作るソロ作品、Cut Chemist(カット・ケミスト)とかDJ Shadow(DJシャドウ)で同じ事をするのは相当難しい。あの、やってみるとわかるけど、全然違う種類の音楽。もう、本当に。共通項はDJなんちゃらというアーティスト名だけ。
 
トラックがあれで、MCはヨー、ヨー、プッチャヘンザッ。
 
音楽に何を求めるのか?ってことなんだけど、結局アレさ。気持ちよさだと思ってる。何を思って何を感じて気持ちいいとするのかって。
 
長かったけれど、ここでやっとJurassic 5(ジュラシック5)が登場する。4MC2DJ。先ほど名前が出ていたカット・ケミストさんもDJだ。政治的な立ち位置とか思想的なことはとりあえず置こう。
 
2007年に一度活動を停止しているこのグループはヒップホップの王道というわけではない、でもこのグループの曲を聴くとほんのちょっとだけヒップホップがわかる気になれる。
 
このヒップホップグループを圧倒的にしているのは、間違いなく、Chali 2na(チャリ・ツナ)の声。決してカット・ケミストの作り出すトラックではない、に違いない。(ほらヒップホップあんまり詳しくないから言い切ると怒られる、誰かに)
 
2013年初頭、(私が知らなかっただけかもしれないが)突如として解散状態だったジュラシック5は復活。しかも一度は脱退していたはずのカット・ケミストを引き連れて。コーチェラのライヴの様子をyoutubeの動画配信で見た。まさしくエンターティメントの王道。音楽が楽しくなくてどうするんだ?って問いかけにすら見えた。
 
音楽の素晴らしさってなんだ?音を聴いて気持ちいいなーって感じることだろ?って思う。
 
ジュラシック5の、チャリ・ツナの魅力は低音の声。声そのものが武器。この声が圧倒的で聴いているだけで気持ちがよくなる。耳に刺激的で、気持ちがよくなるヒップホップの名盤、このアルバム(クォリティー・コントロール)を聴いてチャリ・ツナの声を追いかけるだけで、少しだけ私はヒップホップがわかった気になれた。
 
ほんのちょっとだけ、だけどね。
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