vs. おすすめ

おすすめブログのカウンターとして始めたはずが、気がつけば薄っぺらなブログ

読書

作家の口福 おかわり

最初に 実はこの本を手に取った時、口福(こうふく)をおかわりと読むと勘違いしていた。なぜ「おかわり」と副題がついているのかといえば、この本は「作家の口福」といシリーズの2冊目(おかわり)にあたるからだ。「口福」という言葉は造語ではなく、もと…

ぼくは眠れない/椎名誠

あらすじ 本書は作家でありエッセイストとしても有名な椎名誠が、自らの不眠症体験とあわせつつ自分のこれまでの道のりを語る睡眠風エッセイ集である。不眠という言葉はともすると重い言葉のようでもあるけれど、そこは楽天的な作風の椎名誠がいつもの文体で…

イシュトヴァーンと南無三

父ルーラーシップ 母ドナウブルー 母の父ディープインパクト 土曜日のJRA(競馬)のレース結果の欄を見ていると京都のメインレース、羅生門ステークスの勝ち馬の名前に目を奪われた。 明け4歳馬でその名前を「イシュトヴァーン」。 イシュトヴァーンは栗東石…

2019年のこと

遅くなりましたが今年の抱負など。 今週のお題「2019年の抱負」 普段はあまり抱負などを口にしたりしないですが、年初なのでアバウトな感じで記録を残したいと思います。 2018年は詳しくは書きませんが(書けませんと言ったほうが正しいですが)2つか3つくら…

アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 1 巻/荒井ママレ

あらすじ 本書は医療の現場においては決して陽のあたる称賛を得るわけではない薬剤師、しかも病院薬剤師にフォーカスをあてた、時には己の存在意義に悩んだりする場面をもったりもするが、それでも患者に寄り添った力強い物語である。 アンサングシンデレラ …

誰の心の中にも「からかい上手の高木さん」がいる

私にとっての高木さん 私は思わず膝をうった。これはとんでもない作品だ。小中学校時代のこっ恥ずかしい思い出がリアルな感情で蘇ってくる。ジタバタとベッドの上を転げ回りたい。今風に言うならばエモい。これが私の山本崇一朗の「からかい上手の高木さん」…

1998年の宇多田ヒカル/宇野維正

あらすじ 本書は日本でもっともCDが多く売れた1998年に奇しくもデビューした4人の女性アーティスト「宇多田ヒカル」「椎名林檎」「aiko」「浜崎あゆみ」について、元ロッキング・オン編集者・宇野維正が、彼女たちの関係性を元に切り込んだ2015年末における…

本のタイトルが読めない

あらすじ この文章は書店へ出向き、漫画だろうが、ライトノベルだろうが、ハードカバーだろうが、ファッション雑誌だろうが、新書だろうが、とにかく新刊の表紙を舐めるように眺めることが大好きな私の個人的な思いというか八つ当たりというか、デザインの進…

旅のラゴス/筒井康隆

あらすじ 1980年代、筒井康隆は全盛期だった。その80年代中盤の著作の中でも異質でありつつも、筒井康隆的である本作「旅のラゴス」を今日は取り上げる。 本書はラゴスを主人公としたファンタジー的かつSF的な一生をかけた旅の物語となり、その舞台はかつて…

壇蜜日記/壇蜜

あらすじ 本書「壇蜜日記」は女優、タレント、グラビアモデルの肩書を持つ壇蜜が2013年秋から2014年夏までの期間について天気と自らの生活の一部をソリッドな文章で書き記した記録である。 壇蜜日記 (文春文庫 た 92-1)/壇蜜 → link 壇蜜の時代 確かに壇蜜の…

「嘘喰い」最終回は打ち切りなのか問題

趣旨説明 このエントリは、当ブログ「vs.おすすめ」へ検索エンジンから多数流入してくる「嘘喰いの最終回は打ち切りエンドだったのでは」という疑問をお持ちの方々のために、私が作者迫稔雄または掲載誌ヤングジャンプに変わって勝手に個人的に妄想で回答を…

面白そうだなと思った本2018年7月版

あらすじ このエントリは私が書店をフラフラしている時に表紙を見て単純に面白そうだと感じた本を、冗談50%真面目30%勢い20%で、直感のみでコメントをつけている非常に内容のない文章である。 じみべん つくおきのじみべん → link 書店を歩いていて私の目…

狂気の左サイドバック/一志治夫

あらすじ 本書「狂気の左サイドバック」はサッカー日本代表にすべてを捧げた男・都並敏史が「ドーハの悲劇」に至る裏側でどのように闘い、どのように苦悩し、そして彼および彼らが何故敗れたのかの過程を記したノンフィクション作品である。 狂気の左サイド…

グルメ多動力/堀江貴文

あらすじ 本書「グルメ多動力」はホリエモンこと堀江貴文が、自ら関わるアンバサダーユニット「WAGYUMAFIA」と、やはり自らがプロデユースしたうまい店が探せるグルメアプリ「テリヤキ」によって得た知見を元に、最先端のグルメの総括と、日本の飲食業界の未…

週刊ヤングジャンプ 新連載と打ち切りのスパイラル

あらすじ このエントリは、「嘘喰い」の終了に伴い、私が勝手に雑誌としてのテンション低下を感じている「週刊ヤングジャンプ」の新連載ラッシュとその打ち切りラッシュについて嘆く、果てしなくおせっかいな雑文である。 ヤングジャンプ 2018 No.15(2018/0…

拝啓、本が売れません/額賀澪

あらすじ 本書「拝啓、本が売れません」は、出版不況の中、様々な場所へ出向き、様々な人と話をし、一冊でも多く自分の本を売って自分の寿命を延命すべく右往左往する、平成生まれの自称ゆとり世代作家・額賀澪の挑戦の記録である。 拝啓、本が売れません/額…

グイン・サーガがまだ続いていること

栗本薫とあとがき 私は小学生の頃から栗本薫という作家が好きだった。 初めて読んだ栗本薫の作品は「魔界水滸伝」という長編の小説だった。結局この物語は、完結することなく途中で作者の栗本薫が投げ出してしまうわけだが、まあそれでも十分に楽しかった。 …

ロッキング・オン天国/増井修

あらすじ 本書「ロッキング・オン天国」は90年代、UKロックを中心に据えて音楽雑誌ロッキング・オンの発行部数を2倍に伸ばした名物編集長・増井修の激闘の思い出話である。 ロッキング・オン天国/増井修 → link もしかしたら、ロッキング・オンという言葉を…

若い読者のための短編小説案内/村上春樹

村上春樹のはじまり 初期の村上春樹は意図的に日本的な匂いがするものを遠ざけていたように感じる。 一般的に村上春樹のイメージと言えばビートルズ、スパゲティ、アメリカ文学あたりだろうか。 どこまでが初期なのかについては人それぞれ考えが異なってはく…

観客とオーディエンスとお客さんとドストエフスキー

罪と罰のテーマとは 皆さんはドストエフスキーの「罪と罰」を読んだだろうか。 ラスコーリニコフという主人公が「一つの罪は百の善行によって償うことができる」という思い込みの元に計画を立て金貸しの老婆を殺すまでは良かったものの、偶然その場に現れた…

最近積んでる本 2015年10月版

最初に 皆さん、本を積んでますか。 私はかなり積んでいます。百冊はすでに大きく越えているくらいに積んでいます。もはや読む時期を逸してしまった本もかなり多数存在しています。 積ん読本棚 幅35×高さ130cm (シルバー) → link ちょうど去年の今頃でしょう…

花冠の志士 小説久坂玄瑞/古川薫

花冠の志士 小説久坂玄瑞 (文春文庫)/古川薫 → link あなたは久坂玄瑞についてどれほどご存知だろうか? 例えば私はそれなりに幕末を舞台とした物語が好きだ。 少なくとも明治維新以降の日本よりも、鎌倉時代よりも平安時代よりも室町時代の文化史よりも、私…

陳舜臣と中国の歴史小説

はじめに 2015年1月の終わりに作家の陳舜臣が亡くなったというニュースが流れた。このニュースを聞いた時、私は少し驚いた。実は私はこの時まで陳舜臣という作家が存命であったことを知らなかった。いや、そもそも陳舜臣という作家についてはその作品をいく…

おしゃれな文体

趣旨説明 この文章は村上春樹、伊坂幸太郎、村上龍、味噌煮込みうどんを一つのまな板に並べることによって私がおこなった「おしゃれな文体」についての考察である。ただし、そこには文学的な思考は一切介在しない。人はそれを八つ当たりと呼ぶ。 わたせせい…

アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎

映像化が難しい作品 「アヒルと鴨のコインロッカー」は映像化が難しい作品と言われていた。けれど実はすでに2007年に濱田岳を主演として映画化されている。この映画については私自身は見ていないため、話の根幹である「あの部分」をどのように処理しているの…

司馬遼太郎の歴史小説を読む

せっかくなので今まで読んだ司馬遼太郎の歴史小説について感想を少しだけ書く。 私は決して司馬遼太郎の良い読み手ではないが、それでも司馬遼太郎の小説をいくつか読んでいるので、そういった作品の大雑把な概要とあらすじ、その感想を書きたいと思う。 特…

すべてがFになる/森博嗣

森博嗣をどの順で読むべきか問題 森博嗣を読むとするならば、「すべてがFになる」から始めるべきだ。 もちろん、読む順番なんてどうだっていい。そんなものは他人から指示されるべきことではない。なんなら最新作、新刊から手をつけたってかまわない。けれど…

ロートレック荘事件/筒井康隆

ロートレック荘事件とは 今回もネタバレから入る。叙述トリック。以上。 勘の良いミステリーファンならこれでだけで充分理解できる。 いや、少しだけ説明させてくれ。この物語は推理小説を読み慣れた人にとっては、そこまで出来の良い話ではない。なのでわざ…

殺戮にいたる病 /我孫子武丸

最初に 本書「殺戮にいたる病(さつりくにいたるやまい)」は美しくも残酷なミステリー作品の名作である。何が美しく、何が残酷なのか、それを皆様と一緒に考えたい。 殺戮にいたる病 /我孫子武丸 → link 殺戮にいたる病は映像化が難しい物語 いきなりネタバ…

最近面白いと思った本とか小説 2014年10月版。

最近面白いと思った本とか小説のご紹介メモです。前回漫画版をおこなったのですが、せっかくなのでこちらもやっておきます。 直接的に今回のメモを書きたいと思ったきっかけは1番最初にご紹介する「○○○○○○○○殺人事件」という小説、ジャンルで言えばミステリ…

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