vs. おすすめ

おすすめブログのカウンターとして始めたはずが、気がつけば薄っぺらなブログ

感想

作家の口福 おかわり

最初に 実はこの本を手に取った時、口福(こうふく)をおかわりと読むと勘違いしていた。なぜ「おかわり」と副題がついているのかといえば、この本は「作家の口福」といシリーズの2冊目(おかわり)にあたるからだ。「口福」という言葉は造語ではなく、もと…

ファットボーイ・スリムとM-1グランプリ

はじめに 皆様はM-1グランプリでお笑い芸人が登場する時に流れる音楽、Fatboy Slim(ファットボーイ・スリム)の「Because We Can」をご存知か。いや曲そのものはテレビをちょっとでも見ていてお笑いに興味がある人ならば確実に聴いたことがある印象的なもの…

ぼくは眠れない/椎名誠

あらすじ 本書は作家でありエッセイストとしても有名な椎名誠が、自らの不眠症体験とあわせつつ自分のこれまでの道のりを語る睡眠風エッセイ集である。不眠という言葉はともすると重い言葉のようでもあるけれど、そこは楽天的な作風の椎名誠がいつもの文体で…

私が名盤と思うライブ盤13選

趣旨説明 私はライブ盤が大好きだ。ライブ盤を聴かずにはいられない。 自分の好きな全アーティストにライブ盤を出してほしいと思っている。 そんな私が名盤と思うライブ盤を、洋楽とか邦楽とかそんな枠組みにとらわれることなく好き勝手に紹介したいと考え13…

アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 1 巻/荒井ママレ

あらすじ 本書は医療の現場においては決して陽のあたる称賛を得るわけではない薬剤師、しかも病院薬剤師にフォーカスをあてた、時には己の存在意義に悩んだりする場面をもったりもするが、それでも患者に寄り添った力強い物語である。 アンサングシンデレラ …

誰の心の中にも「からかい上手の高木さん」がいる

私にとっての高木さん 私は思わず膝をうった。これはとんでもない作品だ。小中学校時代のこっ恥ずかしい思い出がリアルな感情で蘇ってくる。ジタバタとベッドの上を転げ回りたい。今風に言うならばエモい。これが私の山本崇一朗の「からかい上手の高木さん」…

1998年の宇多田ヒカル/宇野維正

あらすじ 本書は日本でもっともCDが多く売れた1998年に奇しくもデビューした4人の女性アーティスト「宇多田ヒカル」「椎名林檎」「aiko」「浜崎あゆみ」について、元ロッキング・オン編集者・宇野維正が、彼女たちの関係性を元に切り込んだ2015年末における…

旅のラゴス/筒井康隆

あらすじ 1980年代、筒井康隆は全盛期だった。その80年代中盤の著作の中でも異質でありつつも、筒井康隆的である本作「旅のラゴス」を今日は取り上げる。 本書はラゴスを主人公としたファンタジー的かつSF的な一生をかけた旅の物語となり、その舞台はかつて…

Franz Ferdinand/フランツ・フェルディナンド

フランツ・フェルディナンドのアルバムを1枚だけ聴くなら 本アルバム「Franz Ferdinand(フランツ・フェルディナンド)」はUKロック不毛の時代00年代にドミノ・レコーズよりArctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)とともに彗星のように現れた、本格的な…

Whatever People Say I Am, That's What I'm Not/アークティック・モンキーズ

アークティック・モンキーズの最高傑作 この文章はArctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)の1stアルバムにして最高傑作にして歴史的名盤の呼び声高い「Whatever People Say I Am, That's What I'm Not」のレビューである。いや、そんな高尚なものではな…

壇蜜日記/壇蜜

あらすじ 本書「壇蜜日記」は女優、タレント、グラビアモデルの肩書を持つ壇蜜が2013年秋から2014年夏までの期間について天気と自らの生活の一部をソリッドな文章で書き記した記録である。 壇蜜日記 (文春文庫 た 92-1)/壇蜜 → link 壇蜜の時代 確かに壇蜜の…

「嘘喰い」最終回は打ち切りなのか問題

趣旨説明 このエントリは、当ブログ「vs.おすすめ」へ検索エンジンから多数流入してくる「嘘喰いの最終回は打ち切りエンドだったのでは」という疑問をお持ちの方々のために、私が作者迫稔雄または掲載誌ヤングジャンプに変わって勝手に個人的に妄想で回答を…

狂気の左サイドバック/一志治夫

あらすじ 本書「狂気の左サイドバック」はサッカー日本代表にすべてを捧げた男・都並敏史が「ドーハの悲劇」に至る裏側でどのように闘い、どのように苦悩し、そして彼および彼らが何故敗れたのかの過程を記したノンフィクション作品である。 狂気の左サイド…

グルメ多動力/堀江貴文

あらすじ 本書「グルメ多動力」はホリエモンこと堀江貴文が、自ら関わるアンバサダーユニット「WAGYUMAFIA」と、やはり自らがプロデユースしたうまい店が探せるグルメアプリ「テリヤキ」によって得た知見を元に、最先端のグルメの総括と、日本の飲食業界の未…

週刊ヤングジャンプ 新連載と打ち切りのスパイラル

あらすじ このエントリは、「嘘喰い」の終了に伴い、私が勝手に雑誌としてのテンション低下を感じている「週刊ヤングジャンプ」の新連載ラッシュとその打ち切りラッシュについて嘆く、果てしなくおせっかいな雑文である。 ヤングジャンプ 2018 No.15(2018/0…

拝啓、本が売れません/額賀澪

あらすじ 本書「拝啓、本が売れません」は、出版不況の中、様々な場所へ出向き、様々な人と話をし、一冊でも多く自分の本を売って自分の寿命を延命すべく右往左往する、平成生まれの自称ゆとり世代作家・額賀澪の挑戦の記録である。 拝啓、本が売れません/額…

将棋めし 1巻/松本渚

最近、飯を食う漫画と将棋がブームとなっている。 将棋めし 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)/松本渚 → link 将棋の話 2017年の夏、藤井聡太四段の登場により、何度目かの将棋ブームが到来した。過去に将棋ブームとよばれているものは何度かあったが、今…

グイン・サーガがまだ続いていること

栗本薫とあとがき 私は小学生の頃から栗本薫という作家が好きだった。 初めて読んだ栗本薫の作品は「魔界水滸伝」という長編の小説だった。結局この物語は、完結することなく途中で作者の栗本薫が投げ出してしまうわけだが、まあそれでも十分に楽しかった。 …

多摩蘭坂もしくはRCサクセションのベストアルバム

高校生の頃の話 昨日の夜。急な坂道を歩いていた。ふいにRCサクセションの多摩蘭坂という曲を思い出した。 私は中学生から高校生くらいまでの時期、忌野清志郎とRCサクションの事が大好きだった。RCサクセションは何枚も何枚もベストアルバムを出すグループ…

コージィ城倉とプレイボール2

グランドジャンプ 2017年 4/19 号 [雑誌]/ → link 今年(2017年)の春からコージィ城倉が「プレイボール」の続編を描いている。 「プレイボール」とはもちろん、ちばあきおが自身の作品「キャプテン」で初代のキャプテンを務めていた谷口が中学を卒業した後…

真田丸 前半(第25回別離)までの感想

真田丸 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー) → link 真田丸というタイトル 久しぶりにNHKの大河ドラマをここまで比較的きっちり見たのでその感想などを書きたいと思います。 数年前、2016年の大河ドラマのタイトルが「真田丸」になると発表され、その主人公が…

小沢健二はジョン・タイターなのか (ライブツアー『魔法的 ~』が終わってしまわないうちに)

小沢健二はおそらくは未来人だ。 しかもタイムリープしてる。 2016年5月31日の小沢健二・ライブツアー「魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」名古屋公演1日目を見てそう思った。 小沢健二のライブ(名古屋公演1日目)の感想を少しだけ書きたい。 最初に も…

ロッキング・オン天国/増井修

あらすじ 本書「ロッキング・オン天国」は90年代、UKロックを中心に据えて音楽雑誌ロッキング・オンの発行部数を2倍に伸ばした名物編集長・増井修の激闘の思い出話である。 ロッキング・オン天国/増井修 → link もしかしたら、ロッキング・オンという言葉を…

コーチェラ2016 youtube動画配信の感想

Ready for the Weekend/Calvin Harris → link もうすでに先月4月の話題となってしまいましたが、皆様はコーチェラの動画配信をご覧になったでしょうか。 そうです。海外アーティストが「コーチェーラー」と無駄に叫ぶ、ヤシの木と観覧車と夜景とビキニの享楽…

若い読者のための短編小説案内/村上春樹

村上春樹のはじまり 初期の村上春樹は意図的に日本的な匂いがするものを遠ざけていたように感じる。 一般的に村上春樹のイメージと言えばビートルズ、スパゲティ、アメリカ文学あたりだろうか。 どこまでが初期なのかについては人それぞれ考えが異なってはく…

FKAツイッグスのライブを見た

フジロックのFKAツイッグス 2015年のフジロック。ホワイトステージには一人の獣が現れた。アーティストの名前はFKAツイッグス。その圧巻のステージの感想をここに記す。 LP1/FKA twigs → link FKAツイッグスのライブ 女神転生というRPGゲームをご存知だろう…

サクラタブーの打ち切りとその後の猫田ゆかり

あらすじ この文章は2014年頃、週刊漫画雑誌「モーニング」に掲載されていた猫田ゆかり作「SAKURA TABOO(サクラータブー)」の連載とその不思議な読後感のある最終回をもとに、私が思う「打ち切り」についての感想と、その後の猫田ゆかりについて書かれた私…

D'Angelo(ディアンジェロ)のライブを見た

2015年のサマソニ 2015年の夏もっとも衝撃的だったのはディアンジェロのライブだった。 Black Messiah/D'Angelo And The Vanguard → link 2014年の年間ベストアルバム 話は2014年の12月初旬にさかのぼる。 いろいろな雑誌や音楽評論家、音楽ファンたちがそれ…

ザトペック投法もしくは木多康昭の「泣くようぐいす」のこと

ザトペック投法と村山実 前のブログ記事でFKAツイッグスのアルバムレビューをするふりをして村山実のザトペック投法について書いた。 けれど実のところ私は村山実の現役時代のことはよく知らない。 村山実について知っているのは辛気臭い顔で阪神タイガース…

LP1/FKAツイッグス

LP1/FKA twigs → link 昔、村山実二世、と呼ばれた投手がいた。 もちろん村山実二世とは、村山実の実子つまり血統的な二世のことを指すわけではない。 村山実二世の前にまずは村山実本人について。 ザトペック投法という名前の投げ方がある。 かつての阪神タ…

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